中華そば 若葉 東京・築地





日比谷線の電車が地下鉄築地駅のホームへ到着すると、アジア系海外旅行客がキャスター付きのアタッシュバッグを手に、本願寺・築地市場方面の改札へ向かって行った。

交通量の少ない大通りを立ち止まり空を見上げれば、曇り気味ながら雨の降る気配の無い、十月も後半の秋と言う季節も馴染んでいた休日返上の土曜日だった。

以前にも来た定期的に開催する内覧会の仕事で、また朝早くから築地へやって来た。そこは築地と言う街だけに、この時間から活気のある周辺であった。

そんな築地と言う事で中華そば店も夜明け前から営業しており、昭和30年創業のこちらもそんな新大橋通り沿い築地場外市場の、もんぜき通り市場寄りにある老舗中華そば店の一店舗だ。

築地の鰹節卸問屋を舞台にした「魚河岸ものがたり」にも登場する中華そば専門店で、昭和60年に発刊されたこの小説は直木賞も受賞し、NHK連続TVドラマ「人間模様」でも放映された森田誠吾氏の作品である。なお大正14年生まれの氏は多くの作品を残して、残念にも昨年の今頃御逝去されてしまった。

午前7時半過ぎの店頭へ到着。小説では青葉亭の名前のラーメン屋の通り、一坪程度の調理場に先客が歩道にはみ出した、三つの丸椅子に腰掛けて食していた。

また大通り寄りには、こちらのラーメンを食べる為の、簡易式のテーブルも用意されていた。

店主と女将さんが背にしていた壁に札状のメニューがあり、晴海通り寄りの人気店と違ってチャーシュー麺やワンタン麺まであり、思わずワンタン麺をお願いする事にした。

その後に来られた常連さんらしき後続客も、慌てるように私と同じワンタン麺をオーダーすると先に支払いを済ませた。先客のオーダー品の提供の途中だったので、私はやむを得ずそれが済んでからお支払いしてワンタン麺を受け取った。

そんな頃に何気なくワンタン麺の札を再度見ると、裏返してあり今日のワンタン麺は終了のようで、常連さんらしき後続客の素振りがそれで、なんとなく少しだけ判った気がしたものだった。

片手で受け取ったものだから、少しスープがこぼれてしまったが、具や麺はこぼれず問題なかった。その後は手に付いた油分を綺麗に落とし、簡易テーブルにラーメンを置かせて貰い撮影タイム。

いや、これまた美味しそうだ。それではと行かせて貰えばそれはもう、いやいやいやいや美味い美味い美味い美味い美味い。

豚骨に鰹出汁に香味野菜も利用した感じのスープに、鶏の油も浮いていた気がするラーメンで、コシの程よい極細ちぢれ麺をまとめて持ち上げると、スープも気前よく添って来る感じがまた良かった。

そしてまたワンタンが絶品と言える位に美味しく、早めに提供が終わるのも理解でき、知る人ぞ知る若葉のワンタンらしく、ネットでもワンタン麺は比較的紹介が少なかった。

公式サイトでも紹介されておらず、ここ最近始めたメニューなのか定かでは無いが、何れにしても早々と無くなるメニューに出会えてそれを食す事が出来て良かった。

その美味しさから後続客の方がまだ裏返っていなかったワンタン麺の札に、喜び勇んだお気持ちが口にしてとっても良く判ったものだった。

チャーシューも素晴らしく、ふと築地に足繁く通う方がおっしゃっていた、「ラーメン屋は井上だけじゃない」と言うお言葉が名言に聞こえて来た、そんな土曜日の午前中であった。

気が付けば完食である。いやいやいやいや、良かった美味かった。

(左フォト) ワンタン麺/店頭の暖簾/店舗外観 (2009.10.17)


 中華そば 若葉 (わかば)

 住所:東京都中央区築地4-9-11  定休日:日曜・祝日・休市日  営業時間:5:00〜13:30

 アクセス:東京メトロ日比谷線築地駅(※相対式ホーム駅)東銀座寄り出口下車。新大橋通りの
       築地4丁目交差点を越して更に直進し、築地場外市場もんぜき通りを進んで行った
       比較的一番奥の左側にあり。



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