さぶちゃん 東京・神田神保町





二十四節気では小寒を迎えたそんな今日も昨日に続いて休日で、また風もなく穏やかな陽射しが注いでいた、一月上旬の本日辺りから外食店もチラホラと営業を開始する、そんな五日の水曜日だった。

昨夜は夕方から新宿で仲間と最近何かと話題の270円居酒屋で呑んだが、生ビールオンリーで一品270円もあって肴を多めに口にしたのもあってか、深酒にならずに帰って酔いが醒めてから昼のレポを二つほど更新していた。

そして今日は神田明神へ出掛ける予定で、自宅最寄駅の本八幡へ路線バスで向かった。そして何気なくケータイを手にして某超らーめんナビをいつものように見て、各達人は何処の空かとまた見ていた。すると某北島氏情報によれば、昨年暮れから神保町のさぶちゃんが長期休業に入っていて心配だったが何と今日から再開すると言う。

そんなわけでJR総武線電車には乗らずに、都営地下鉄新宿線急行電車に乗って急遽本の街・神保町へやって来た。せっかくだしとこちらへ行く前に、古書街の一店へ入って出物も散策。単なる冷やかしで終わって店頭へ到着すれば、神保町界隈では既に広く知れ渡っていたようで、なるほど12人近い外列が待ち受けていておそるべしだった。

店先にはヒゲタの濃口醤油の一斗缶に、減塩メンマの箱など業務用食材が置かれているほか、スポーツ新聞が数紙そんな食材の箱の上に用意されていた。常連さんらしき方はそんな新聞を手に取って、外で並んで待っている間だけ読んで、またそれを元の位置に戻していた。

20分程度で直ぐ前が厨房の店先となって、一席だけ空いたが直ぐ前に並ぶご夫婦に店主が配慮して後ろに並ぶ私を先に入店させてそこに座らせ、まもなく出て行かれた先客の場所にそのご夫婦を並んで座らせて上げていた。

今回は、ちゃーしゅうめんと半ちゃーはんをお願いした。タイミングを見計らって新年の御挨拶の言葉を投げかけると、元気な言葉で御挨拶が返って来た。足を痛めてしまったそうで、11月24日から年末までやむを得ず休業されたらしい。

まだ全快に至ってないらしく、二か月先の三月に一週間だけもう一度休んで、痛めた足の手術をすればもう大丈夫だそう。程なく到着。

これが麺の上に置かれたチャーシューが実に美味しく、生姜がしっかり利いた醤油ダレの味わいがタマらないもの。

麺のふくよかな食感もなかなかいいし、メンマもこれが美味しい。醤油スープから来る生姜感にそのうま味感覚も、昨年暮れに行きたくても長期休業で行けなかったゆえ、店名がさぶちゃんだけにサブリミナル的な面からもまた更に美味しく感じられたものだった。

半ちゃーはんも多めの量で、焼き飯加減もまた絶妙で良かった。それはもう気がつけば完食だった。いや、かなりとっても美味しかった。そして水道橋駅まで歩いて、御茶ノ水に出て神田明神に初詣。古い熊手をお焚き上げ所に納め、新しい熊手をまた購入。

今回は大きいのを選んだ。そして本堂に参拝しようとすればこれが丁度世間の仕事始めの日と重なったようで、大勢の人だかりの中で賽銭を投げて参拝を済ませた。また新しい年が始動した。

(左フォト) ちゃーしゅうめん/半ちゃーはん (2011.01.05)











昨日の午後からまた崩れた天気は、朝方もそのまま雨脚が強まり強風も吹き荒れていたが、午前十時くらいになると雨がほぼ止んでは時折り気まぐれに雨粒が落ちて来た十一月中旬休日の土曜日であった。

また久々に神田神保町の古書街を訪れようと、そんな天気にも拘わらず持ち直す予報もあったので出掛ける事にした。

そんな今日は幾つかの行かずにいた、名店の一つのこちらへ訪問する事にした。今更ながら語るべき事もない程に誰もが知る、昭和41年創業と言うから今年で43年目の元祖半ちゃんらーめんのお店だ。店主のお名前が三郎だそうで、店名の由来を聞くまでもない名前である。

バスで八幡に出て本八幡駅の都営新宿線ホームへ階段で降りて行くと、うまく急行電車が出発を待っていた。まもなくするとベルが駅構内に鳴り響いて、電車は神保町方面へ向かって走りだした。

その神保町に到着して外へ出ると、今しがた雨が止んだばかりの界隈で、強い風が雨雲を動かしているのか、その雲の割れ目からいっときだけ薄い陽光が濡れた路面を照らし出していた。そんな天候の白山通りの歩道を水道橋方面へ進んで行くと、まだ緑色の葉の方が多い銀杏の並木がずっと奥まで続いていた。

気温も不安定で、やや高めな周辺だった。しばらく歩いて行けば、こちらがある路地の前となり、そんな頃に腕時計に目をやれば午前11時40分近くで、目を上げるとこちらの店頭には4人の方々が先客が出て行くのを待っていた。

入り口はことごとく解放されており、店内がよく見える店頭で、ラーメンを食べている方に、チャーハンを口に運ぶ人。思わず実況中継をしたくなる程であった。

向かって左側は厨房で老練な雰囲気の店主が手前におられ、カウンタの先にいるお客さんと気さくな会話を楽しんでおられた。さぶちゃんと言うと「函館の女」等で一躍有名になった北島三郎さんが思い出されるが、そちらのさぶちゃんも今年で73歳だが年齢的には店主の方が少し上だろうか。

数分立った頃に一度止んだ雨がまたぽつりぽつりと来たので、奥行きのない店頭のヒサシゆえに壁に身を寄せてその滴を凌いだ。そしてしばらく待っていると食事を済ませた先客の方々が、一人二人三人と精算して街角に消えて行った。私の順番がやって来たので中へ入り、入り口の目の前の角席になる椅子に奥の壁へ向かうように腰を降ろした。

少し前に店主が道路奥の和食定食店の方に姿を消していたが、まもなくすると何事もなかったように戻って来られた。ちなみにその奥の定食店に白山通り側の洋食店も、店主のご兄弟が経営している外食店らしい。

さてオーダーの段となり、やはりそこはと言うわけで、半ちゃんらーめんをオーダー。店主が流麗な手さばきで空のドンブリにタレを流し入れ、中国鍋でゆがいた麺をまるで計量器で計った如く、きっちりと平ザルでドンブリに移して行った。不慣れな人ならその後で若干麺を移し替えて微調整するところだがほぼ同じ麺量を入れており、もちろんそんな事をする必要もなかった店主だった。

スープを流し入れると奥に優しい雰囲気を持つお兄さんがおられ、その方がメンマとチャーシューを丁寧に麺の上へ並べて行き、完成したラーメンを店主と二人で手分けして先客から順番に手渡して行き、その後でチャーハンの鍋に火を入れ暖め直してから盛って注文客に配っていた。

そんな先客の半ちゃーはんが先客の前に置かれ、狭い店内だけに私の目の前とも言える距離にそれが置かれた。もっと量があるのかと推測していたが以外に少なめで、しかし普通の方であれば丁度よい量とも言えた感じであった。

しかもこれが美味しそうで、もっと多い量でこれは堪能して見たい所となった。すぐ目の前には店主がおられ、喋り易い距離に喋り易い雰囲気の店主で、金額を若干加算して半ちゃーはんを多めに盛れないか交渉すると、半分か一人前どちらかだそう。

さきほど店頭で中の方が口にしていた一人前を見ていただけに直ぐにその内容量が判別出来た事もあり、半分を一人前に変更をお願いすると立ち所に変更が成立した。そこでお詫びの意味であやまると、あやまる必要はないし、むしろ有り難い事だと褒められたのであった。

そんなやり取りをしている内に、半チャーハンと言う言葉がまだ世の中に定着していない頃には色々な事があったようで、そんな話しをしている内に今度は近頃の日本語が乱れている話題にお話しが移行していた。

確かに他人の事は言えない私だが、流行語的な話し方や略し言葉などが横行しており、話しを合わせる意味で相槌を打ちつつも、ラーメンとチャーハンの到着を待った。程なく到着。

何しろ狭い店内ゆえに一挙一動が店主の目の前となり、小さい声でデジカメ撮影の申請をすると、すぐ許可がおりて撮影。後からチャーハンを手渡されると、こっちも撮ってとの事で受け取り、目の前だけに緊張感の中で撮影したのはたぶん初めて。

そんな撮影も終わってそれではと行かせて貰えばそれはもう、いやいやいやいやいや、美味い美味い美味い美味い美味い美味い美味い美味い。

これぞ東京醤油のゲンコツに豚ガラと鶏がらの出汁の生姜香る風情豊かなラーメンで、だいたい160g程の麺も東京らしい柔らか目の中細ストレートで、店主の足元にあった麺箱には、小池製麺所の文字が刻まれていた。

チャーシューがまた感動出来るほどに美味しく、こちらは半ちゃんラーメン発祥の店と言う事ばかりが話題になるが、その提供されるラーメンもまた東京醤油ラーメンを代表出来る美味しさと格式を感じるものがあった。

レンゲがないこちらで、ドンブリを手に持ってその縁に口を当てて飲む事になるが、他のラーメンに比較すればまだ油感が良質な事も手伝って少ない感じで、これによりその分スープは熱々となるわけだ。

ひと昔前はラーメンにレンゲは邪道とされた時代があり、今でもかたくなにレンゲは置かないお店があり、おそらくこちらもそんな感じなのだろう。それが判り易い事に、本来チャーハンにはレンゲが必須だが、そこには金属で出来た洋風大スプーンが添えてありレンゲはやはり無かった。

そしてそのチャーハンがもう、これまた美味い美味い美味い美味い以下略。なるほど中華チャーハンとは違ういわゆるヤキメシ仕様で、思えば昭和40年代に雨後の筍の如くできた大衆中華店ではこうした味も少なくなく、懐かしさが前に出つつもそれはそれは美味しいチャーハンであった。

ただお隣りはご兄弟が洋食店を営んでおり、その関係でレンゲでなくスプーンにしているのかも知れない。また中華チャーハンでなくヤキメシスタイルなのも、やはりそんな関係があるのかも知れない。

チャーハン普通盛りにラーメンなるも、その美味しさゆえに気が付けば完食であった。何気なく振り返ると入店を待つ、お客さんの数がまた増えていた。

そしてそこには、味自慢の小さい文字にラーメンの大きい文字が刻まれた、赤い暖簾が折りからの風に揺れており、そこにあった油のシミや手垢の汚れが、ふとこのお店の勲章のようにも見えた瞬間があった。

清算を済ませて外に出ると、また降り出していた雨に折り畳み傘を広げ、予定通り古書街の何軒かを渡り歩いた。いやこちらもまた、チャーハン共々とっても美味しかった。

(左フォト) らーめん/拡大画像/ちゃーはん/店舗外観/周辺の白山通り (2009.11.14)


 さぶちゃん

 住所:東京都千代田区神田神保町2-24   TEL03-3230-1252

 定休日:日曜・祝日   営業時間:11:30〜15:00/16:20〜19:00

 アクセス:都営地下鉄新宿線等神保町駅A3出口下車。左手の神保町交差点から白山通りの左側
       歩道を水道橋駅方面に150m程進む。するとその辺りに「洋食店キッチングラン」があり、
       その手前の左路地を入って少し進んだ右側にあり。



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