龍の子 東京・原宿





今日もまた朝から天気の良い、10月中旬の金曜日であった。営業職となっても、大抵は朝からオフィスへ出社するパターンが殆どであるが、たまに法人顧客先へ直接出向く場合もあり、今日がちょうどそんな日であった。

いつもとは違う都営新宿線電車で都心へ向かい、都内某駅で下車して待ち合わせした営業車を探す。早目に来てまだ該当車がいない事を確認してから、すぐ上の交差点にあったマックで、お金を支払ってホットコーヒーだけをオーダー。

すると言われてテレビCMを思い出したが、コーヒーがなんと無料の時間だそうで、お金を支払わずにコーヒーが飲めたのであった。

そんな今日は外食販売企業様と同行営業があった日で、その会社の営業様の1BOX車の助手席に座らせて頂き、自社製品の拡売に励んだ一日となった。

そんな中でランチの訪問先にこちらの店名が出て、一度訪問してまた是非とも行きたいと思っていただけに、素晴らしいランチの行き先となったのであった。

午後一時過ぎに到着すると、どちらかと言えば原宿の目立たない立地ながら、こちらがある雑居ビルの地下に続く階段は、その名声を知る方々で埋め尽くされていた。

その行列は1階の廊下へ届くまでに至っていたが、今日は平日のランチタイムの上に時間が時間であるし、さほど待たないで座れる事になるでしょうと同行の営業様に進言。案の定数分も掛からず、先客の方々が精算して帰られて行った。

そんなわけでテーブル席に腰掛け、オーダーを何にするか思案。違う麺類も心を巡ったが、やはり前回のタンタン麺の味が忘れられず、また同じメニューでお願いした私であった。

こちらのオーナー店主である安川哲二氏は、四川飯店や唐人飯店等で修行し、日本四川料理の父である故陳建民氏や、日本薬膳料理の草分け的存在である故岡野国勝氏に師事。その後「香港飯店」「大門飯店」「味の一番」等で料理長を歴任し、こちらを開業させて既に三十年以上の月日が流れた。

最近では南青山のイタリアンレストラン「リストランテ・ヒロ」の山田宏巳氏とのコラボにより、名古屋のチャイニーズレストラン「ニーナ・ヒロ」を手掛けている。ちなみに山田氏とは、1980年代イタメシブームの立役者、イタリアンの大御所と呼ばれている方だそう。

隣りのテーブル席では貴婦人の方々が、コース料理を楽しまれていた。程なく到着。おお、今日もまた熱烈に美味しそうだ。それではと行かせて貰えばそれはもう、美味い美味い美味い美味い美味い美味い美味い美味い。

赤いラー油と液状になった胡麻の蓋の下には、優美な醤油スープが見えるこちらの担々麺で、何処までも続く美味みの奥深さは、心をぎゅっと鷲掴みする程に舌を魅了させてくれた。安川氏と名刺交換が出来ながらも、気が付けば完食であった。

(左フォト) タンタン麺大盛/ビル入口インフォ (2009.10.16)







大気の香りさえも、春色を通り越して初夏色に染まった、赫灼としながらも何処か優しい陽射しが、乗車した電車の窓ガラスに射し込んでいた、四月中旬休日の土曜日だった。

しばらく前に神保町の街で散策していた際に、古書店で10年以上も前のラーメン関係のムック本を見つけ、購入した事があった。書籍は河出書房新社が発行した、「王様のキッチン・中華そば探検隊」で、元ラーメン王の故・武内伸氏とフードジャーナリストの梅谷昇氏による、ラーメンフリーク対談など興味深い記事があった。

本の冒頭では、当時の国内人気中華飯店の中華そばが紹介されており、奇珍@横浜のネギソバの次に、こちらのタンタン麺が映っていた。そんな事がきっかけで、大変気になる所となり、出掛けて見る事にした本日であった。

伝説の人気TV番組、「料理の鉄人」で中華の鉄人として出演した事もある、安川哲二氏が手掛ける本格中国四川料理店だ。

氏は福岡県のご出身で、赤坂四川飯店で陳健民氏に師事した後に、幾つかの有名中国料理店で料理長を勤め上げ、その後昭和52年に独立してこちらを開業させ、今日に及んでいる。もちろん四川料理店の隠れた名店として、今以て名高い名店の一つである。

さて、JR原宿駅竹下口で下車して、改札口から店舗の方角を臨めば、若い頃見た時とそんなに変わらない、混雑が絶えない竹下通りが奥まで見渡せた。そこを人ごみを避けながら歩けば、クレープの甘い香りが何処からともなくする道である。

何度となく歩いた狭い通りで、家電量販店外商時代には、その通り出口にある、輸入タイルを扱う企業の担当をさせて貰った関係で、原宿は仕事でよく来た街の一つだった。

こちらの四川料理店も、そんな竹下通り出口一角にあるビルの地下で、営業をしていたお店だった。原宿のそんな場所にあると言うだけで、また特別な風情を感じてしまうから不思議だ。

階段を降りて中へ入ると、一見フランス料理店のそれの様な、それにプラスして家庭的な雰囲気も醸していた、佇まいの店内が広がっていた。

二人掛けのテーブル席に一人で収まり、自宅のドアに手を掛ける前から決めていた「タンタン麺」1050円と、メニューを見て思わず追加した、「龍の子特製シューマイ(三個)」315円もオーダーした。

原宿らしいカップル二組が夫々に食事をしていて、一人で来た周辺のOLが間もなく来る料理を待っていた。こちらも、程なく到着。

「赤」と言うよりは「紅」と言う表現が似合う、そんなスープの色をしたタンタン麺が、中央に挽き肉と青菜を鎮座させてやって来た。これはウマそうだ。

それではと口にして行けば、なるほどこれは大変に美味しいタンタン麺で、それはもう、美味い美味い美味い美味い美味い。

最近は唐辛子の辛味と、ゴマのこく味ばかりが目立つ場合もあったりする担々麺だが、こちらは自然な酸味と風合いがよく、香辛料の複合的なバランスが整えられ、鶏のコクも大変いい感じに、食材を生かした香りづけも出しゃばらない程度。

麺もカン水少なめか不使用の細ストレート麺で、卵を使って喉越しの良い風情が感じられた。辛味はそんな風情の為マイルドだが、これがなかなかの美味しさだった。

そしてこれまたシューマイが美味しく、それはまさしくの、気が付けば完食となった。精算時に古本を取り出して見せ、その本を見て来た事を告げると、嬉しそうにそれに対して親身になって応えてくれたのが嬉しかった。

(左フォト) タンタン麺/アップ画像/龍の子特製シューマイ/竹下通り (2009.04.11)


 中国四川料理 龍の子 Son of Dragon (りゅうのこ)

 住所:東京都渋谷区神宮前1-8-51 メナー神宮前B1  定休日:日曜日・お盆・年末年始

 営業時間:11:30〜15:00/17:00〜LO21:30(祝日〜LO21:00)

 アクセス:JR山手線原宿駅竹下口下車。改札前の人通りの多い竹下通りを進んで行き、
       明治通りまで出たら右折して、少し進んだ右側のビルの地下。



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