つけそば 丸長 東京・目白





そよぐ風は涼やかに街を駆け抜けて、青空から注ぐ陽射しはまだ夏の色をして煌めくものの、木陰に入ればその限りでなかった八月下旬の休日水曜日だった。

こちらが建て替えをされることになって2011年8月から一時休業となり、翌春4月頃再開予定だったが遅れることとなって、蓋を開けて見れば昨年の8月23日に再開を果たしたようだ。

立派な六階建のビルが完成したようで、再開してはや一年が経過している。以前は茶色のタイル張りだったが、新しく建てたビルはグレー調のタイル張りとなったようだ。

ここ最近丸長づいていて、宮原丸長をきっかけにして、豪徳寺の丸長にも足を運んでいる。これまでにも荻窪丸長阿佐ヶ谷丸長勝田台丸長に何度か足を運んでいる。

実は先日こちらの店頭へ立つと20日までの長いお盆休みで休業しており、荻窪でもまたその最中に店頭に立っていただけに今回そのリベンジとばかりにこちらの店頭へやって来た。

店頭には強い陽射しが注いでいたが、八人もの行列が伸びていた。その後ろに並びついて待つと、そう経たない内に後ろに後続客がさらに列を延ばしていた。

しばらくすると周辺に在住しているような方が店先に現れた。するとお店の方がその方が持っていた容器を受け取りその対応をされていた。おそらく持ち帰りサービスをこちらもやっておられるのだろう。

メニューが入り口左手の格子鉄線が入ったガラスに張り付けられていて、つけそば以外にもラーメンが各種ラインナップされていた。

思ったよりも早く行列が詰まって行き、そう待つこともなく店内に促されてカウンター席に着席。先述したように6階建てのこちらだが、客席フロアは1階のみだけになっていた。

ラーメンのつもりで来たが、ほぼヒャクパーつけそばの店内にその気が失せてしまい、結局オーダーしたのはチャーシューつけそばだった。

相変わらずの早さのこちらで、かなり程なく到着。長い行列だとしても、盛りは良いながらそう待たないでありつけるこちらと言えそうだ。

それにしても独特なチャーシューのこちらで、ミンチかと思うとそういうこともなく、しっかり刻んでいる様子のもの。

目の前にオーダーしたつけそばが置かれた時、以前と同じようによく掻き混ぜてからどうぞとのことで、言われた通りにつけ汁よく掻き混ぜた。

それではと行かせて貰えば、やはりなんとも素敵で美味しいそんなチャーシューつけそば。

醤油のカエシがしっかりとした主義主張が感じられるもので、太めの麺もさりげなく優雅なコシを作るものでなかなか。

奇をてらうことなく唯一無二にして王道感溢れるものだけに、インパクトを出すことなく人を知らない間に饒舌にさせる美味しさ。

後半になってから、卓上にあった白胡椒や一味唐辛子にラー油をそれぞれ入れて見たが、これまたなかなかの持ち味が出て素晴らしかった。

スープ割りもさらりと来て、また実に良かった。気がつけば完食。スープ割りが多めだったので、盛りは並盛りだったが丁度良い腹持ちとなった。

こちらの精算を済ませて、周辺にある甘味処の店頭で偶然みつけたかき氷のサンプルに思わず絆されそこへ入店。こちらも行列が出来ており、しばしまた並ぶところとなった。

いちごのコンポートが、たっぷり器に入った美味しいかき氷を堪能することが出来た。昭和21年創業の「御菓子司志むら」の喫茶部で、さすが目白で老舗人気店はこちらだけではなかった。

いや、それにしてもかなり何処までも果てなく、途轍もなく何とも実に良かった。

(左フォト) チャーシューつけそば(麺・汁)/店舗遠景 (2013.08.28)


 つけそば 丸長@目白

 住所:東京都新宿区下落合3-19-4  定休日:日曜日・祭日  営業時間:11:00〜15:00

 アクセス:JR山手線目白駅下車。改札前の目白通りを左手に300m程歩いた右側。徒歩およそ5分。



目白通りを左手に300mほど歩いた右手にあり。

昭和29年創業の目白丸長だ。

つけそばだけでなくラーメンもラインナップされている。

調味料で自分なりにカスタマイズ出来る。

JR目白駅寄りで営業している老舗店目白志むら。

2階・3階に喫茶部があり夏はかき氷が人気メニュー。

※以下は建替え前の旧店舗時代。










気温が落ちて来た東京の未だも青い銀杏の街路樹に、まとまった雨が降り頻り、雨音が響く十月後半週明け月曜日の午前中であった。

久々に朝の通勤電車に中途半端な遅れがあり、モーニングコーヒーを口にする事なく、会社へぎりぎりに到着した朝だった。いつからだったか多少の電車遅延を考慮して、早く出掛けては普段は朝カフェが日課であったりする。

そんな今日は雨の降る中で池袋界隈の営業と決めて出掛け、その前の早いランチと言う事で、ふと浮かんだ5年振り2度目となるこちらへ入店する事にした。

ラーメン店は必ず営業している店舗でない為、よく目的地の場所が駄目なら、こちらと決めた日が何度となくあったお店であった。

午前11時を数分過ぎた辺りの、雨脚が強くなって来た頃の時間に店頭へ到着。

既に早めに開店した模様で、先客の濡れた傘が何本も軒先の傘立てに指されていて、少し前まで並んでいた筈の先客は全て店内であった。

何気なく見上げれば小屋根の上には店舗の幅いっぱいに中華そばの文字と○長マークがあり、中央にある入り口には純白の暖簾に、つけそばの文字とやはり○長マークがあった。

ちなみに左右はガラス窓でショーケース状になっており、向かって左側にはまるでカフェを連想しそうな中型サイズの黒板にチョークを使ってメニューが連ねてあった。

その右上には○長マーク入りのコーヒーカップが、ソーサーまで一緒になってそれはお洒落に描かれてあった。さて中へ入ると直ぐ左手のテーブル席が相席で座れ、そこに身を落ち着けてから、以前と同じチャーシューやさいつけそばを中盛でお願いした。

なおこのメニューは、比較的早くなくなるメニューらしい。周囲を見回せばさすが人気店のこちらだけに、午前11時10分頃でもほぼ満員。

出入り口の扉は休まる事なく後続客を引き入れ、精算を済ませた先客を順番に帰して行った。

そんな昭和29年創業の丸長・大勝軒系ラーメン店で、元祖の荻窪丸長と深く係わるお店である。程なくと言うか直ぐに到着。運ばれて来た方が「軽く下から掻き混ぜてからどうぞ」と一言が添えられた。

これ以上はないと思わせるその風情は、もちろん不思議と古臭さはなく佇んでおり、何とも言えない世界を造作していたそんなつけそばであった。

中太やや太平打ちの麺を少しだけ口にすれば、全て内麦を利用している雰囲気に満ちていたが定かではない。それではと箸を使って軽く掻き混ぜ麺を浸して行かせて貰えばそれはもう、いやいやいやいや、イケるイケるイケるイケるイケるイケる。

もう美味いと言うにはどこかしっくりとしないその味わいは、どこか日本蕎麦的な楽しみ方が脳裏に浮かぶもので、そんな言い方が似合っていたチャーシューやさいつけそば中盛であった。

なおイケるは、美味いの1.1倍と注釈しておきたい。豚骨鶏がら野菜の出汁に砂糖とお酢が独特な風情を醸した汁にミンチ状の肉と野菜が入りもの。

自家製麺はいかにも風合いの良い自家製らしい自家製麺でありながら、しっとりとした食感と豊かなコシがまたいいものだった。

時計の針は絶え間無く動いても、毎日のように提供されるその味わいは、暖簾に刻まれた歴史と同じく変わらずに、その感動をこうして楽しませてくれる。

そして荻窪には荻窪の味があり、勝田台には勝田台の味があるように、目白には目白の味があり、それが古臭さを感じさせない要因なのかも知れない。

かと言って違うかと言えばそうとも言い切れず、そう言えばそれは同じ系統の東池袋大勝軒にも言える事であった。

似て非なる独自の味作りが成される事により、その歴史は研鑽されて行き、いつしか新たな系統となって次世代に引き継がれて行くものなのだろう。

スープ割りも手軽に楽しめてこれまた美味しく、野菜が多めで麺量も中盛でも多い方で、満腹になりながらも気が付けば完食であった。いや、なかなかの美味しつけそばであった。

(左フォト) 叉焼野菜つけそば中盛(麺・汁)/メニュー/店舗外観/最寄駅 (2009.10.26)


二月に入って初めての休日、快晴。春を待つ季節である。こんな休みの日に見る、青空に浮かぶ白い雲は、それだけで心が弾む。先日、某店でこちらがいいと聞き、本日行く事にした。

モバイルツール・ザウルスの乗換案内で検索すると、京成本八幡から日暮里経由で山手線内回りのルートが最短と知り、幸いすぐ普通特急が来て乗車する。日暮里までは二駅停車で、町屋駅も加速して通過して行く。

目白と言えば、女子大というイメージが先行する。そして学習院、故・田中角栄氏の豪邸、デサントの大看板と続いて行く。そんなものである。目白駅からそう遠く無いこちらに正午近くに着くと、既に7〜8人が並んでいた。

店頭近くで撮影等でうだうだしているとさらに増え、並び立った時には15番目となった。しかしとっても回転が良いのか、あれよあれよと言う間に列がお店に吸い込まれて行き、気が付けばテーブル席に座っていた。ものの五分も並んでいない。あらかじめ万全の準備をしているらしい。

ところでこちらのお店は、昭和22年12月創業の荻窪丸長の、創始者の叔父にあたる方が、昭和29年頃に開店したお店だそうで、全国に点在する丸長の本家的存在らしい。

ちなみに丸長@千葉・勝田台のお店は、荻窪丸長の創始者を父に持つ店主が営むお店らしい。全て東池袋の大勝軒などを有する、丸長のれん会のお店らしい。閑話休題。

店頭に、早いもの勝ちともあったチャシュー野菜つけそば中盛1000円を予定通り注文する。程なくすぐに到着、回転が良い訳である。来たつけそばのつけスープには、それが見えない程に野菜とバラ肉っぽい豚が入り、麺を乗せてもスープがつかない程。

その麺がもう大感動ものである。思わずこれは鵜舞、である。極太平のこれぞもっちりの白い麺。絶妙のコシ加減である。麺の量も大満足であった。

つけスープは甘酢に一味がたっぷり入ったもので複雑な旨味が絡みなかなか。割りスープもなかなか楽しめるものだった。

完食して清算を済まし、駅へ戻る途中にたまに入る喫茶系チェーンの珈琲館に入ったが、面白い位に昭和40年代の自然な佇まいがあった。お聞きするとチェーン創業当初からあるお店の一店舗だそう。

ラジオから演歌が流れ、時間が止まった様な空間の雰囲気が嬉しい。初老のマスターは目白生まれだそうで、昔からずっと住み続けているらしい。

「丸長?ああ、そこの。終戦の落ち付かない頃からやっていて爺さんから、今は二代目になっても人気が変わらず、頑張ってやっているね」との事だった。

地元の人間はいつでも行ける感覚があって、あまり行かないらしい。そう言えばどちらかと言えば周辺サラリーマンが多い気がしたが、地元の方らしき方もおられた気がした。

その後も世間話しが続いた。私の母が戦後まもない頃池袋にいた時期があったが、その頃の話しもお聞きすることが出来た。マスターの「ここら辺は終戦直後、それはそれは焼け野原だったんだよ」には、「すごい変わり様ですよね」と返して話しに花が咲いた。

(2004.02.05)