藤九郎 東京・小川町





淡い初夏の陽射しが煌めいて注ぐものの、上空に水蒸気が覆って青空を隠していた、そんな六月水無月半ばの休日火曜日だった。

どうやら日本橋高島屋の横で営業していたこんどう軒が三月末日を以て閉店したらしい。そして靖国通りと本郷通りが交錯する小川町交差点の傍で藤九郎の屋号で先月の15日から移転リニューアルオープンを果たしたようだ。何故ゆえに、藤九郎なのかと思う。

藤九郎とは現代では女性狂言師の名前であり、銀杏にもその名前がある。ネットでこちらを紹介されている方によれば、店主からお聞きしたのか定かでないが、アホウドリの異名でもあるらしい。それを知って店名由来が、どうしてなのか見えて来た。

訪れてよく知る中華店で、考えた店名由来が推測通りなのか確認したいこともあり、本日はこちらを訪ねることにした。そんなわけでまた秋葉原で下車して万世橋を渡り、こちらの店頭へやって来た。

さっそく入店して中へ入ると、神田小川町らしい現代的なフロアーが広がっていた。厨房が左手にあって、その前に長いカウンターが奥まで延びていた。その間には板ガラスの仕切りがあり厨房の熱気が来ないよう配慮されていた。

そんな厨房前カウンター席の、手前寄りの椅子に促されてそこへ腰掛けた。移転して来たこんどう軒ならば、専用釜で焼くチャーシュー入りのラーメンかタンメンだろうと悩むところ。

お聞きすると残念ながら以前の専用釜はこちらに持って来れなかったそうだが、チャーシューにこだわりを持つこちらだけに何れにせよ美味しいチャーシューに違いないことだろう。ともあれ今回はタンメンで行くかとなって、そのミニチャーハンセットでお願いすることにした。

日本橋で営業している時に訪れた際には、お店の方から大正時代には間違いなく開業していたことをお聞きしたものだ。どうやら初代近藤軒は当初屋台を引いて創業し、1914年の大正三年に日本橋の地で創業したらしかった。

大正三年と言えば新川大勝軒の前身である浜町大勝軒が創業した年で、こちらはさらに屋台時代があるのであれば一番歴史を有する現存中華店と言えそう。

板ガラスの向こうには調理人が三人おられ、どなたが四代目と言われても不思議ではない方々ばかりだった。もしかしたら、一番左側の方だろうか。そう思っていると、その方が作り上げたばかりのミニチャーハンを自らの手で持って来てくれて私の前に置いてくれた。

これはもう千戴一隅とばかりに定かではないが店主らしき方に、藤九郎ってもしや店主はゴルフ好きですか?とお聞きして見た。すると「アルバトロス!」と一言だけ言われて、昼時の多忙な時間帯だけに直ぐ厨房へ戻って行かれた。

そう、藤九郎がアホウドリの異名なら、その英名はアルバトロス。ゴルフ競技で基準打数から三打少なくホールアウトすることを、長距離をたやすく飛ぶ鳥としてアルバトロスとかダブルイーグルと呼ぶ。

はっきりしたご返事では無かったが、直ぐアルバトロスと言う言葉が出ただけに推測通りだろうか。ともあれ先に来たミニチャーハンから行かせて貰えば、さすが日本橋こんどう軒時代からの人気メニューだけに、量も変わらぬ盛りの良さで絶大に美味しいもの。

程なく来たタンメンもまたボリュームが良いもので、白濁しているそのタンメンスープの味わいがこれまた実にたまらないもの。鶏ガラスープを現代風にアレンジした藤九郎のスープだそうで、あっさり過ぎずこってり過ぎず飽きの来ない風味。

麺は旭川の藤原製麺らしい。ゆったり泳がして茹で上げることで、麺の旨さを100%引き出すことが出来るそう。日本高度経済成長期に活躍したサラリーマンの胃を、満足させて来た果てのその美味しタンメンだけにその良さもひとしおと言えた。

次の百年を見据えた伝統が息づく街日本橋から、その百年と言う長い道のりを持つこちらが、神田小川町で新たな旅立ちが始まった。気がつけば完食。いや、かなりとんでもなく絶大に絶え間無く途轍もなく果てなく何処までも良かった。

(左フォト) 店頭入口/タンメン(しお味)/セットミニチャーハン (2014.06.17)


 こんどう軒四代目 藤九郎 - tohkurou -

 住所:東京都千代田区神田小川町2-2-7 レインボービル1階 TEL03-3293-6377

 定休日:無休  営業時間:平日11:00〜15:00/17:30〜翌1:00◆土日祝11:00〜15:00

 アクセス:都営地下鉄新宿線小川町駅B5出口そばにあり。



小川町交差点の傍で営業中。

こだわってこだわって百年たちました。

洗練された雰囲気のあるフロアー。

その前身は日本橋こんどう軒であることが綴られていた。

ランチセットメニューは、チャーハンが付いてお得。

鶏ガラスープを現代風にアレンジした藤九郎のスープ。

※「中華こんどう軒」東京都中央区日本橋2-6-7時代。




駅前ロータリーの街路樹が、軽く揺らぐ程度の、穏やかな初夏の風が街を駆け抜け、まばゆい五月の陽射しが空を横切っていた、そんな休日の日曜日の午前中だった。

最近はその日の朝方になってから、訪問先を最終判断して出掛けている。その方が柔軟に行動出来るし、大抵は最近特にそうなって来たが、ラーメンだけが目的では無い場合が殆どだからだ。

さて今日は、何処へ行くかと考えていた所、まるで深い眠りから覚めた、遠い追憶がよみがえったように、こちらの店名が脳裏に浮上して来た。

以前、秋葉原の勤務地を去る時、大手町の就職斡旋企業に訪問していたが、その際に二度ほど訪問した、日本橋高島屋の直ぐ足元の歴史ある中華店である。そんなわけで都営浅草線電車に乗り換え、正午前に日本橋駅で下車して外に出た。

その昔は白木屋デパートがあった場所で、その後東急百貨店と名称が変わったが、業績不振により土地を売り払いさら地になった後、現在はコレド日本橋が出来て大きな構造物がそそり立つ周辺となっていた。

こちらの中華店へ行くには大変に簡単で、日本橋高島屋本館の手前の路地を入り、そこを進んで行った左手にあるのがこちらだ。営業中の札が掛かり、ドアが開放されていて、入店客を待っていた。未だ誰も入った形跡が無い、そんな店内へ入って行く。

入り口近く、レジそばのテーブル席に腰掛け、ネットでその存在を知って気になっていた、半チャーハンの金額をさりげなく確認しつつ、わんたんめん600円に、その半炒飯350円をオーダーした。

誰もいない事をいい事に、風情の良い店内を撮影していると、オーダーを聞いてくれたお姉さんが映ってしまい再度撮影。

場を取り繕う為に「古い建物らしいですね」と言うと、自慢する様に「古いですよお」と教えてくれた。しばらくすると、夫婦に小学生二人の家族客が現れ、にわかに活気づく店内となってゆく。店名はこんどう軒だが、ちなみに新撰組のリーダーと同じ名前だ。程なく到着。

おお、ビジュアル的にもオーラを感じる程に、相変わらず風情の高いラーメンが到着した。半チャーハンもウマそう。

なお、大したことでは無いが、白いドンブリには何故か長崎チャンポンの文字があった。それではと口にして行けば、これがもう、美味い美味い美味い美味い。

どこか和の出汁にも通じる、味わい深い中華的な嗜好のスープで、麺はやはり加水低めの熟成させていない仕様。その絶妙さが、また良かった。

ワンタンも、厚みがあるタイプで、いい感じだった。ちなみに家族連れは、私のすぐ隣りのテーブル席に陣取っていて、こうした中華店の場合その間隔は結構狭く、私の横には家族客がおられた。

チャーハンは量も多めでこれがまた美味しく、ラーメンに入るチャーシューは本来の叉焼でまた大変良く、うま味迸るスープは大変奥行きのあるものだった。気が付けば完食。いや、やっぱり、良かった。

(左フォト) わんたんめん/半炒飯 (2009.05.10)


大正時代に創業した日本橋の老舗中華店だ。

メニューの案内にも味があった。

どこか気品さえ感じられるテーブル席。

店内から外を眺めるとこんな景色。

日本橋高島屋の傍で営業しているこちら。

コレド日本橋が出来て、この周辺も変わった。

また大手町所用の日で、朝から梅雨らしい天気。午後早い時間には上がる様で、折り畳み傘で出掛ける。正午前にはその打ち合わせも済んで、日本橋高島屋にも用事があった事もあり、またこちらへ入店する。実は先日、ラーメン本をまた買っていて、唸っている本にもこちらが掲載されていた事を知った。

丁度ランチタイムで、混んだ店内。よく本で紹介されると、「紹介されました〜」ってな感じで、そのインフォをよくお店側でしているが、ここは全く考えてない風情で、どこか老舗店の心意気が感じ取れる。

相席で座り、タンメン570円をお願いする。こういう場合厨房の方は、同じものをまとめて作る場合が多く、タンメンの注文が多かった所為か、そんなに経たずに到着。

こうなると、まだ来ていない相席の人がうらやむ場合が多く、目を合わせず食べ始める。しばらくしても相席の方の注文品が来ず、ちらっと見ると、まだかよ〜ってな感じだった。私が悪い訳では無い。念の為。

570円のタンメンの割りには、かなりボリュウムがあり、やや塩分が強いもののやはり旨い。後半お酢を入れて味を変え楽しみ、気がつけば完食。いや、良かった。しょっぱかったけど。

(2005.06.22)
 


2005.06.22 タンメン




2005.04.18 焼豚ラーメン(醤油)大盛


今日は、会社関係の方と待ち合わせて、一緒に大手町へ所要があって出掛けた。それが済んだ後、徒歩で日本橋まで歩き、やはり一緒に入店して食事をとった。創業75年とあるメニューから、焼豚ラーメン700円を大盛150円増しでお願いして、彼はここの名物らしいオム焼きそばと言うのにしていた。

お店の方に創業の事を言うと、大正時代創業だそうで、今年で80年を既に軽く越えている様。建物の作りも鉄筋コンクリの割に古そうで、見ると丁度目の前に分電盤BOXがあり、銘板に昭和34年とあったので、築46年と言う事になる。そんなレトロな店内で待って、程なく到着。

湯(スープ)は、肉付鶏ガラから出た鶏油が微量入ったあっさり醤油で、麺は低かん水のボソボソ気味の、夫々が時代を感じさせるものであった。そしてチャーシューがそこに入っている訳だが、これが何とも味わい深く秀逸であったのだった。

コークスでローストしているそうで、厚みある肉は一部レアな部分もあり、噛み応えがありながらその硬さは適度なもので、肉汁が口に広がるローストビーフならぬローストポーク。大盛加算分150円が、納得の量でこれも良かった。

油感がまずまずの、真面目なラーメンであった。後続客の絶えない付近の人気店の様で、人気メニューベスト10のインフォもあった。ちなみに一位はチャーハン、だった。

ちなみに連れの名物らしいオム焼きそばは、ヤキソバを卵焼きで包んで、マヨネーズとソースを網状に卵焼きの上にかけていてビジュアルが良く美味しそうだったが、どうだったか聞くと比較的薄い味付けで、 ・・・・・・まっ普通だったらしい。

(2005.04.18)