好日 東京・東中野


店頭に置かれたこだわりの案内。

食膳に麺汁の好日と言う意味合いだろう。

最寄り駅はJR総武緩行線東中野駅で西口周辺にあり。





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夜半まで降っていた雨も止んで、灰色の雲が浮遊するものの青空も見えて、軒先にたわわに稔る橙色の柿に陽射しが当たっていた十一月霜月も下旬となって来た金曜日。

季節の変わり目の所為だろうか昨日は不調となって、自宅で久しぶりおとなしく静養していた。一晩寝れば体も復調して、普段通り仕事に出掛けた。

今日も仕事が終わって外に出れば、また今夜も穏やかに冷え込んでいたそんな午後七時過ぎだった。

そんな病み上がりの日の仕事帰りにすするラーメンだけに、優しい味わいでいて健気でもあって、出来れば麺は自家製で風情の良いものがいい。

そこまで対応するラーメンが、果たして今通勤する間にあったろうか?ふと思案している内に、あるじゃないかとひらめいた。そんなわけで普段からそんなラーメン提供しているこちらへ立ち寄ることにした。

と言うわけで、最寄り駅の東中野で下車。この数年の間に通勤電車で何度も通過していたが、途中下車するのは実に久しぶり。

そこからそう遠くない、その店頭へやって来た。およそ五年ぶりの店頭だ。以前入店した時は昼間であっただけに、変わらない店頭だが暗い周辺に店頭の面持ちは随分違っていた。

仕事帰りさりげなく立ち寄れるラーメン店の一つに、こちらがあるとは何てラオタ冥利に尽きることかと思いつつ入店すると、そこそこに盛況なフロアが広がっていた。

以前となんら変わらない店内だが、いつも感じることだが夜は昼間よりも狭く感じてしまう。以前は午後九時まで営業していたが、現在は午後八時半までらしく、土曜日は昼営業のみとなったようだ。

ランチサービスでサービス惣菜があるこちらだが、もちろんこの時間に来るとそれは無かった。最近ではモヤシ小鉢とチャーハン小鉢なるものを、提供していることが店内の案内で見て取れた。

中央に据えられた大きいフロアテーブルの奥寄りに腰を下ろして、メニューを確認してから前回と同じ煮玉子らあめんをお願いすることにした。

後続客が続いて、俄かに活気づく店内。さすが人気店のこちらだった。程なく到着。

それではと行かせて貰えば、これ以上ないと思えるほど優しい味わいが怒涛の如く感じられる美味し醤油味のラーメン。それだけに、気がつけば完食だった。

6年前に幹書房が発刊した「トーキョーノスタルジックラーメン」にもこちらが紹介されており、まさしく懐かしの東京ラーメンを感じさせる逸品の無化調ラーメンと言えた。

時に現勤務先におられる方の情報筋によると、様々な人気ラーメン本を発刊して来た幹書房だが、なんと先月破産してしまったらしい。同出版社が果たして来た役割が大きかっただけに残念でならない。

街の目立たない場所で懸命に美味しいラーメンを提供する、こちらのようなお店を沢山発掘して来ただけにだ。いや、それにしてもなかなかの素晴らしい味わいで、絶大に途轍もなく果てなく良かった。

(左フォト) 夜の店頭外観/煮玉子らあめん (2014.11.21)


 好日 - KOUJITSU -

 住所:東京都中野区東中野1-53-7  TEL03-3369-5914

 定休日:日曜日  営業時間:11:30〜14:30/18:00〜20:30 ※土曜日は昼営業のみ

 アクセス:JR総武緩行線東中野駅西口下車。西口改札を左手に回り込むようにして出て、出口から
       見える路地を入って行き一つ目十字路左手前にあり。


夏のざわめきが幻影だったかの如く、高原にいるように涼やかな風が吹いていて、ツクツクボウシの鳴き声だけが周囲に響き渡り、低く白いふっくらとした雲が、どこまでも青い空を少しだけ隠していた。

それでも市街地に出れば、アスファルトの照り返しもあってか30度に近い程の気温に、やや湿気を含んだ風に夏の香を感じた。

そんな朱夏の終わりと白秋の始まりを演じる、九月・長月前半休日の雨も降らず好日の土曜日だった。

ラーメンを食べ歩くようになって様々なラーメン本を見ていると、必ず登場するこだわりラーメン店があると思う。こちらもまた、そんなラーメン本常連の一店舗で、数少ない女性が店主のお店だそう。

以前は国分寺で中華料理店を営んでおられていて、8年前にこの地へ移転して来たのを機に、自家製麺と無化調をウリにしたラーメンへ切り替えたらしい。

そんなラーメンを、以前から是非とも楽しんで見たいと思いつつ来店を狙っていると、近年の新店開業の情報の渦の中で、他のそんなラーメン店と共に忘却の彼方となってしまった。

しかし内容の濃い割りにお手頃価格だった某氏の無化調店紹介本で、結果的に「忘却の彼方」ならぬ、「誘客の此方(こなた、こちらの意味)」となり、思い出して出掛ける事にしたわけであった。

と、言うわけで、総武緩行線電車を一時だけ中央快速電車に足を変えながら、東中野駅には正午前に降り立った。

山手通りと中央線が交差する場所だから、駅をとりあえず作ったような感じの駅だ。

それだけに大久保と中野の街の間の駅ながら、池袋や新宿から10km程奥まった私鉄沿線の駅の周辺に、雰囲気が似ていた界隈であった。

そんな街を歩いて行き、駅から程ない場所に、こちらが風情良く佇んでいた。ラーメン本を携えながら歩かないと、ちょっと見落としてしまいがちな場所にあった。

中へ入って行くと、そこはやはり周辺に愛される人気店で、混みあっていた店内であった。カウンター席がなくテーブル席オンリーで、単身入店者でも座れる大きなテーブルが中央に用意されていた。

そこの奥の席に腰を降ろし、メニューから予定通り、煮玉子らあめんをお願いした。立て掛けてあったメニューリスト等をさりげなく撮影していると、え?と思う位に程なく到着だった。

そのラーメンをお店の方が私の目の前に置くと、入り口にサービス惣菜があるのでご自由にお取り下さいと告げて去って行った。

ラーメン本を読んでも、語りに不要とも言えるサービス惣菜だけに、来ないと判らない事が多い。そんな事を見つける楽しみも、あるのがラーメン食べ歩きだ。

一度立席してそのサービス惣菜を持って来る。不要な方もいるだろうから、このようにセルフサービスにするのは、とても良い手法であると思う。

それではと口にして行けば、なるほどと頷ける美味しさが口内に広がり、もう美味い美味い美味い美味い美味い美味い。

無化調である事が、スープをひとすすりするだけで判る感じで、思わず大網某店のラーメンを思い出した。長い間うま調味料を利用して来た方が目指した無化調ラーメンだけに、それが如実に表われた味付けと言えた。

うま調らしさと言うよりも、中華らしさからの脱却を狙ったきらいを味に感じる分、日本ダシらしさが前に出た優しいしっくりと来る味わいに個性があり良かった。

中太やや太ストレートの麺は、朝打ち立ての非熟成麺らしい、この上なくムッチリした感覚がたまらなかった。チャーシューも美味しく、気が付けば完食。

いやいやいやいや、さすがウマウマなラーメンで、なかなかかなり良かった。

(左フォト) 昼の店頭外観/煮玉子らあめん/サービス惣菜 (2009.09.05)