中華そば 井上 東京・築地





毎年初夏の朝は、大半が雲で霞んでいたのか、それを何もなしに遠い記憶から甦らせる事は酷くやっかいだが、そんな日々が続くとそうだったのかなと感じた、六月半ば過ぎの土曜日の早朝だった。

そう、日比谷線電車に乗って築地駅に降り立ち、外に出てから腕時計に目を移せば、時間は午前七時半を過ぎたばかりの比較的早い朝だった。

本日は休日だったが、さっそく営業の仕事が急遽午前中だけ入り、築地某所に午前八時に集合する事になった。

それを聞いた時、思わず心のレジスターが(そんなものありません)、ジャラジャラチーンとキャッシャーが開いて、こちらで朝ラーメンする事を思いついた。

そんな訳で三十分も早く、築地にやって来て、こちらへ二度目の来店の私であった。店頭に立てば、ピークはこれからなのか、5〜6人程度の列で済んでいた。

その後ろに着くと、どこからともなく来られた後続の方が、私の後ろに並び、直ぐに10人近い列が出来た店頭であった。メニューはオンリーワンの、特製中華そばのみだけ。

チャーシュー麺といったら、「ウチはそれが特製中華そばで650円です」と、言ってくれるかも知れないが、それ程にチャーシューが多めに入るラーメンなのだ。何れにしても、前回来た時に大盛りが出来るか、聞いた自分が恥ずかしい。。。

狭い厨房内におられる店主が、八人以上並んでいるか見定めてから、麺を湯に順次投入して行く。

見ているとドンブリを八つ置けるスペースがあり、八杯ずつ作り上げて提供しておられた。前回の時は六杯ずつだったと思う。

スープが入り麺をほぐし入れ、チャーシューが並べられ、メンマと刻みネギにカイワレが乗せられてゆく。

客は厨房の外のお店の方に、お金を渡してしばし待つ事になる。4年前に来た時は600円だったが、現在は値上げしたらしく650円だった。

それでもチャーシューが多めに入っており、充分すぎるほどにお得な金額。用意されている黒い角形の盆を手に持ち、所定の台に盆を置くと、出来たラーメンがそこに置かれ受け取るスタイルとなっている。

ラーメンを受け取ったら周囲に簡易テーブルがあり、そこへラーメンをお盆ごと置いて立って食べる。

少し離れたテーブルは他店の場所で、そこへ持って行くともちろん拒まれるので要注意。そんな訳で落ち着いて、食す事が出来る場所を探した。

すると店舗前の、新大橋通り部分のアスファルトに、テーブルとは呼べない小さい木製の台と、椅子とは呼べない小さい座れるやはり木製の台があり、幸いそこが空いたばかりで、身を寄せる事が出来た。

それではと割り箸を割り、一味唐辛子を軽く振りかけてから口にすれば、それはもういやいやいやいや、美味い美味い美味い美味い。

加水低めの麺が良い風情を作り、鶏から染み出した様な脂がスープのコクを深め、沢山入ったチャーシューはまた比較的厚めで、それがまた何とも美味しいもの。

目の前の新大橋通りには、土曜日の午前八時前もあってか、多少の乗用車が行き交う程度だった。

そして直ぐそばにはラジオがあり、そこからかなり昔の流行歌が流れていた。そんな流れて来る歌を聴いていたら、何故か20代の頃人生の先輩に連れられ、呑み明かした後で入った、夜明け前のラーメン店の記憶が甦っていた。

いつもいつでも♪ 夢と希望を持って♪ ・・・・・・  東京へは♪ もう何度も行きましたね♪

気がつけば完食。そろそろ初夏の陽射しも、厳しさを増してくる時期だ。 いや、良かった。

(左フォト) 特製中華そば/店舗外観/ラーメンを仕上げて行く厨房 (2009.06.20)


 中華そば 井上 (いのうえ)

 住所:東京都中央区築地4-9-16  定休日:日曜・祝日・休市日  営業時間:5:00〜13:30

 アクセス:東京メトロ築地駅東銀座寄り出口下車。新大橋通り築地4丁目交差点を越して少し進んだ、
       もんぜき通り途中の左側。



周辺営業の後、こちらが近くにある事に気がつき店頭に立つ。築地場外市場の新大橋通り沿いにある、早朝から営業している大変有名なお店。創業40年にもなるらしい。正午前で10人以上の列だが、一回に六杯ずつ作っていて、意外と待たない様子。手を伸ばしたくらいの幅の厨房だけのお店で、その前でつづら折りの列を作らせていて、その後ろに並び立つ。メニューは特製中華そば600円のみで、雰囲気的にどうかなと言う感じがあったが、大盛の事をお聞きするとやっぱり駄目だった。

見ると食べる所は、人の往来が絶えない車道脇の歩道上にある簡易テーブル。大きいズンドウから出るスープのアクを、丁寧にすくっている。事前にお金を払ってラーメンを受け取り、それを一時的に置ける場所に移動する。簡易テーブルは既にいっぱいで、簡易椅子の様な場所に置く。見上げれば秋の不安定そうな薄曇りの大空。

みんながそうする様に、ドンブリを手に取り、すすり始める。麺がやはり東京風なヤワメな中細ちぢれで、スタンダードな様でどこか特徴的なスープで旨い旨い。煮豚チャーシューも、これはいい感じ。シナチクと、刻みネギにカイワレも入って、なかなかと言える特製中華そば600円を堪能した。なんたってチャーシューが多めに入って600円はお得。ただ落ち着いて食べられる、状況でないのがたまにきず。気が付けば完食。少し歩くと活気のある築地場外市場が続く。買物がてらに、来るのも楽しそうな街。いや、良かった。

(2005.11.14)


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