一茎草 東京・三ノ輪 ※閉店


若干だけ淀んだ色の雲で空は覆われて、すっきりとした青空は見えないものの、時折り明るくなる街の風景は爽やかな、五月最終日の休日の日曜日の午前中だった。

最近はデパートで開催される物産展に、ラーメン店が出張して来るのをよく見掛ける様になった。また企業団体が手掛けるラーメンイベントも、人気国民食だけに沢山の人を集める良い手段が得られている。本日に至っては、大崎裕史氏が手掛ける東京・駒沢と、はんつ遠藤氏の千葉・中山の両イベントが開催されており、どちらもやはり盛況の様だった。

さて先日の話しになるが、社内の方から、つけ麺の本をお借りする機会があった。最新のつけ麺事情がこと細かに記されている本で、思わずそれをパラパラとめくりつつ見ていた。すると、こちらを紹介するページがあり、思わず目が釘付けされた私だった。なんと、3種のつけだれによる、つけ麺が始まっていたのだ。そんな訳で、大変気になる所となり、出掛ける事にした本日だった。

例によって、JR常磐線電車に乗り、南千住駅で下車。前回と違う商店街を通る、そんなルートで店頭へ到着した。中へ入ると今回は店主がおられ、思わず深々と御挨拶する私だった。



昨日訪問前に店主のブログ(公式サイトは、諸般の事情により、辞めてしまったそう。)を訪問すると、しばらく前に限定で開化楼の超極太麺のつけ麺をやっていた様で、念の為その麺が残ってないか確認をすると、既に終了して随分経っていたらしく残っていなかった。

但し通常メニューの今回のつけ麺の麺も、限定麺と同じ小麦粉配合による、浅草開化楼製の比較的太い方の平打ちだそうで、こちらもかなり良いそう。

そんな事を確認しつつ、券売機で予定通り3種つけだれの特選つけ麺800円のボタンを選び、先客2名の店内の店主が前におられるカウンター席に腰掛けた。とは言ってもそう広い店内ではないので、どの席に座っても店主は大抵目の前にいる(いちいち書かない)。程なく到着。

三つのつけ汁の椀は、味噌汁椀より一回り程大きく、どちらの椀からも、それぞれに違うかぐわしい食材が表われていた。ゴマ風味だけ冷たいつけだれで、醤油風味は鰹等の節が利いて、塩とんこつ風味は香味油にガーリックを映した感じがあった。

麺も、箸でつまむとプルプルして来てもうたまらないビジュアルで、しかも神々しくも感じるオーラが放たれていたつけ麺だった。

それではと、まずは冷えたゴマだれに付けて行けば、いやいやいや、もう美味い美味い美味い美味い。出汁がしっかりしているから、これで既にギアはトップになる旨さだ。

続いて醤油ダレで行けば、これ又たまらないシフトに手が止まらない美味しさ。そしての塩とんこつダレにおいても、感動の坩堝は更に深くなるばかり。

どれもが一啜りでは収めたくない旨さで、それ故にほぼ平均的につけダレを楽しんだ食し方となった。

どれかがこの程度かと思う事なく、どれかが圧倒的に抜き出ている事もないが、どれもが素晴らしく感じ取れる3種のつけダレでもちろん麺も良かった。何気ない青菜も、その味の濃さに驚くもの。

気が付けば、麺が消えた。スープ割りは醤油と塩とんこつ夫々にスープを入れて貰い頂いたが、心にジワワンと来るその良さは、やはり甲乙つけ難しなスープ割りであった。

もう、やつぱり何しろ良かった、ラーメン創房玄、三ノ輪総本店であった。

(左フォト) 特選つけ麺(3種つけだれ・麺)  (2009.05.31)


 ラーメン創房 一茎草 (いっきょそう)  

 住所:東京都荒川区東日暮里1-1-3

 アクセス:東京メトロ三ノ輪駅3番出口下車。日光街道を交差点を渡ってからガード方面へ進み
       そのガード手前の左側にあり。徒歩およそ1分。

  






2008年の経済に吹き荒れた北風が、年末最終日の大晦日になって、やっと素顔を出して街に寒気を送っている様な、それはそれは寒い水曜日だった。

さて、本年最後の食べ歩きの締め括りの大晦日の日で、幾つかの候補から悩みに悩んで決めた場所は、本年開業した玄店主が営まれる、こちらのお店だった。

最近は開店して、落ち着いた時間になってから入店する事が多いが、今回は年末限定狙いもあり、またJR常磐線南千住駅で下車し、徒歩7〜8分歩いて開店15分前に到着した。そんないわゆるシャッターで望んだ訪問だった。

その年末限定とは、比内地鶏の丸鶏だけを贅沢に丁寧にじっくり煮込んだ、限定仕様玄流塩ラーメン780円(一日15食のみ)と言うもの。

ただ23日から提供を始めていたのもあったのか、到着して見ると特に列も無く、一番で入店でき、券売機でその限定ラーメンを選び着席した私だった。

開店時に一人が後続で続き、少ししてもう一人が入店する程の、本日のこちらの出だしだった。見ると店主がおられず、いつも見るベテランの方と、初めて見る新しい若い方の二人がおられた。

連日厨房に立っていた事もあり、店主は本日お休みだそう。

浅草開化楼の麺箱が目を引く店内で、今回の限定の麺は、そちらかを確認すると、荻窪の春木屋さんから紹介して貰った、製麺所の麺を利用しているそう。

厨房の中を見ていると、チャーシューをカセットボンベ式のバーナーで炙っており、それが終わると、麺が解されズンドウの中に投入され、ラーメン作りが始まった。

ドンブリにスープが惜し気もなく注がれ、湯切りした中太ちぢれ麺がそっと入り、メンマに青菜、ついさっき炙ったばかりのチャーシューが二枚、そして白髪ネギ、焦がしネギと香り油が素早く配置されて行き、程なく到着。

おお、あなた♪変わりは、無いですか♪だった(おいおい)。これは上下左右、何処から見ても完璧な構図(下からは見えない)。

それではと口にさせて貰えば、もう超うまい無限大の良さが炸裂する美味しさ。寒かった外は過ぎ去った過去のように、じんわりと心さえもあったまってゆき、桃源郷の世界が広がる店内となった。

何かが欠けていると言う事は無い、そんなとても旨いラーメンだった。そして一つ言える事は、比内地鶏だからだけでは無い、と言う事だった。

気が付けば完食。いや、とんでもなく、良かった。

(左フォト) 年末限定比内地鶏玄流塩ラーメン/店頭店舗名銘板 (2008.12.31)







一雨毎に涼しくなると言われるが、先週の降った数が示すかのように、秋がまた一段と深まった東京近郊の日曜日だった。

都内私立の中学校を卒業すると、いわゆるエレベーター方式によって、同じ敷地にある商業高校に進学した。その当時の僕は、鉄道マンに憧れて目指していた。

「出前一丁」や「サッポロ一番」など全盛時代の即席めんを随分と胃に収めた頃で、休日には近場の電車を撮影しに行ったり、夏休みになると遠出の鉄道旅行に行ったものだった。そんな時は駅の立食い蕎麦店のラーメンや、手軽なカップヌードル系にお世話になった事も結構あった。閑話休題。


そんな今日は、またこちらへ行って見たくなり、快晴のなか松戸駅へ出て、常磐線快速に乗り南千住駅で下車。最寄り駅は日比谷線三ノ輪駅だが、天気が良く北千住での乗換えが面倒だったので、やや離れたこの駅で降りてみた。

常磐線右脇の小道を進んで行き、突き当たりでトンネルをくぐり反対側に出て、そのまま進んで行けば丁度こちらの前の横断歩道で、徒歩およそ八分の道程だった。

暖簾を潜り店主と目が合い、お互いが深々と御挨拶。思わず玄秋葉原総本店での、低いカウンター越しでの同じ出来事が脳裏でオーバーラップしていた。

券売機でつけめんも気になる所だったが、こだわりが半端ではないらしい坦々麺が、それ以上に気になりそのボタンを選んでタッチ。

うまく空いていた一席に、腰掛けて券をお渡しする。後続の方が続きに続いて、店内に小列が出来る程に、盛況な玄店主の新店だった。程なく到着。

練り胡麻ばかりが目立つ坦々麺のスープや、軽く膜だけ張らせて味気ないスープもある中で、そのどちらでも無くそれでいて、この圧倒的な存在感はどうだろう。

ひとくちスープを啜れば、胡麻に膨よかな深みがありつつも、個々の食材がはっきりとした輪郭のある、食材本来の濃い味を映し出すもの。

坦々麺特有の辛みが結構あるのに、それらのうま味の所為により、辛みが一歩後退しているのが実に面白いそんな辛いラーメンだった。

そう言った意味で、こんな坦々麺は初体験と言えて、それはもう、まさしくと言える程に別次元の坦々麺を誇る味で、つまりそれは旨さ無限大と言う事実。気が付けば無化調の、感動領域の中で完食だった。麺さえも自然愛を感じさせる。

店頭も臨戦態勢が整い、営業時間も定まり、今後の展開が楽しみ。いや、これはとっても良かった。

(左フォト) 坦々麺/店舗外観 (2008.10.12)


大空はややくすんだ鼠色の雲で覆われ、午前中からヒグラシの蝉吟が自宅界隈で聴かれた、八月も中盤に入ったそんな日曜日。梨園が周辺に多い自宅近くだが、ここに来て軒並み、その敷地にある、即売店が営業を始めていた。そんな、そよ風が草木を軽く揺らしていた、やや涼しい日でもあった。

以前JR神田駅近くの、らーめん創房無限庵へ訪問した際に、そちらはプロデュース店で、田中玄氏自ら経営するラーメン店を、久々に東日暮里の方で立ち上げる事をお伺いしていた。氏の公式サイトを拝見させて頂くと、どうやら金曜日辺りに静かにお店をオープンさせた模様。サイトを読むと、既に提供するラーメンの、完成度が極まっている事が判る。そんな訳で本日は、こちらへ訪問する事にした。


正午前に東京メトロ日比谷線三ノ輪駅明治通り口改札を出て、住所から印刷した地図を頼りに、こちらへ向かう。さてはて?ラーメンと書かれたノボリも無ければ、それらしい暖簾がぶら下がった店舗も無い。ここら辺かなと、それらしき店舗の前に立つ。其処こそが紛れもなく、玄氏がオープンさせたラーメン店だった。

アリえない程に、ラーメン店らしからぬ外観で、既におそるべし。そんな和の佇まいが、渋い店頭だった。年輪模様が鮮やかな、天然木の四角い平板に、店名の一茎草の文字が、小じんまりと目立たずに主張していた。

さて外から中を覗けば、開店してからしばらく経過している感じで、店内は八人の席が用意された、盛況なL字カウンター席が見えた。入るとすぐに券売機があり、店主と目が合い思わず深々と御挨拶。

入口に本格醤油ラーメンと案内されていて、券売機には江戸前喧嘩ラーメンと別称が記載されていた玄麺780円を、大盛増し100円に味付玉子100円のボタンも連打し、空いた左の一番奥の座席に腰を降ろした。しばらくは選んだ玄麺と、玄流白湯ラーメンのみでの営業らしい。後続客が続き、盛況が続く店内。程なく到着。

いやいやいや、もうその旨さが、放たれるオーラでその全てが判るもの。それではと口にして行けば、これがもう旨い旨い旨い旨い旨い旨い、旨い旨い旨い旨い旨い旨い。

麺は将来自家製を考えておられるそうだが、当分は以前にも利用した事があるらしい、羽田製麺と言う製麺所の麺だそうで、そのプリプリ感がなかなかの中太ややちぢれの麺に、玄氏の進化した感が強い、まったりとした焦がしネギ油がそこそこ入った、じんわりと来る醤油スープが絡み、その風情がたまらないもの。

醤油感が本当にまろやかで、その旨みはどこまでも奥深く、感極まる程に舌を唸らせた。 都下あきる野市内にある近藤醸造の丸大豆しょうゆを利用しているらしい。

チャーシューも一枚一枚が、丁寧に電気ロースターで炙られており、これがまた美味しい。味玉子も半熟と固ゆでの中間やや固ゆで寄りで、よく味が染みた味付け玉子でこれも絶賛もの。デフォルトで半裁が付く様で、味玉追加で三つ目となった。他にシナチク青菜白髪ネギが乗り、糸トウガラシが色を艶やかにしていた。

券売機のボタンには売切れの表示となった、今後こちらで提供される予定のメニューであろうボタンが用意されており、昔みそラーメンとか坦々麺とか、今週のラーメンとか実験メニューAとかBとか、連食者向けか子供向けかミニラーメンとか、つけ麺の麺食べ放題ボタンとか、餃子とか野菜サラダとか本日のデザートとか、もうボタンだらけの券売機だった。目をつぶって出たとこ勝負で押しても楽しそうなボタン(おいおい)。

気が付けば完食。私は普段から、責任者の顔が見えるラーメンを追い求める所があるが、食材の生産者の顔をが見え、すぐ目の前にそれを調理する店主の顔が見え、これぞと言う一杯の無化調ラーメンだった。いや、超モーレツに、旨かった。

(左フォト) 玄麺大盛+味付玉子/東京メトロ日比谷線三ノ輪駅明治通り口 (2008.08.10)



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