日の出屋 東京・足立柳原









昨日は強い風が吹いていたが、そんな風に乗ってセミの鳴き声を聴いた気がした。しかしどうにでも取れる音だったし、その後鳴き声は聴けず、どうやら錯覚だったと思っていた。

まだ時期が早かったかなだったが、ところが今日の朝方外に出れば紛れも無いセミの鳴き声に、やはりそうだったのかと、夏の空を見上げた七月中旬休日の土曜日であった。

一気に夏が加速する、蝉の鳴き声だ。

先日立川駅周辺にある東池袋大勝軒系のラーメン店を紹介したが、先日とあるラーメン店の下調べで何気なくネットサーフィンをしていると、その同じ店名にマウス操作の手が止まった。

「あ、同じ店名だ」であった。ありがちでも無い店名が同じだと、経営が同じなのかなと詮索もしてしまう所だが、両者の住所やスタイルを比較しても、何一つ共通項が無く100パーセント関係なさそう。

そして随分とレトロなラーメンに釘付けされる結果となり、こうなるともう下調べするラーメン店自体がこちらに変わる事となった。

すると数年前の知らない間に、ラーメンフリークの間でも話題になったラーメン店で、あのTBS名作ドラマ「3年B組金八先生」の役者さんやスタッフさんが一時期利用していたお店だった事が判った。そう、贈る言葉の合い間にも、ラーメンは食べられていた訳だ。

金八先生と言うと東京都足立区立桜中学校を舞台に、教員と生徒の泣き笑いを描くストーリーだが、そのロケで使われた学校が今はもう既に無い、こちらから程近かった足立区立第二中学校だったからであった。

これまでに第8シリーズまで放映されたが、その第1シリーズで主に撮影されたのがその中学校だった。しかしストーリー性が妊娠など過激な展開が多かった事から、第2シリーズ以降は撮影許可を拒み、別の学校で止む無く撮影していた。

しかし人気が出てドラマ自体が社会通念的に認められる様になり、第5シリーズからは再び足立区立第二中学校で撮影される事となり、おそらくその頃からこちらのお店が利用される様になったのだろう。

しかし都内の少子化により同中学校は4年前に閉校してしまい、現在その場所には東京未来大学が二年前から開校している。

武田鉄矢さん、田原俊彦さん、杉田かおるさん、三原じゅん子さんらが出演したそのテレビドラマの第1シリーズから、既に三十年近い歳月が流れていた。そんな訳でセミの鳴き声に見送られ、出掛ける事にした曇天模様の本日であった。

前身の京成電気軌道が創立してから、百年目を迎えた京成電鉄のステンレス製電車に乗車し、東武鉄道線と交わるようにして出来た京成関屋駅前に降り立った。

そしてそこから歩いて行くと、京成電鉄線と東武鉄道線に挟まれた住宅が建ち並ぶ地帯に、風情よくこちらが佇んでいた。

かき氷を販売している事を知らせる、青い波に赤い氷の文字の旗が、軒先の微風で揺れながら、夏の風情を助長していた。

昭和26年創業だそうで、創業当時は甘味店だけの営業をしていたそう。中に入るとやけにバカでかい縁起物の熊手が、壁に飾られているのが目立っていた。

お隣りさんらしき方がお店の方と、ちょうど店内で世間話しをしている最中で、その横を擦り抜けて奥左手のテーブル席に腰を降ろした。壁の天井近くには大きなメニュー表があり、少し離れた所にはかき氷の小さなメニューがぶら下がっていた。

店先には背の低い幅広な常温用のショーケースがあり、その上には金魚鉢の倍はありそうな煎餅が入る丸いガラス製の容器が二つのっていた。そしてショーケースには砂糖を固めたような和菓子が、数種類入っているだけだった。

インターネットを見て来た事を告げた後で、件のメニュー表を見て650円のワンタンメンと、680円の玉子チャーハンをお願いした。

店先の前の道は、時折り乗用車も通るが、しょっちゅうと言う程でもなく、自転車や歩行者の方が多いくらいだった。その歩行者の一人が立ち止まり、店先でお店の方に何やら頼んでいた。

まるで近所付き合いの会話だったが、カツ丼やら何やらのメニューの確認が聞こえ、それが出前の注文と判るまで数秒を要した。(笑)

ふと見上げれば、ロケの合い間に来られたであろう、小林花子役の小西美帆さんや、本田美和役の高畑淳子さんのサイン色紙が飾ってあった。

常連さんらしい後続客が一人現れ、オーダーが通るとまたテレビの音声だげ流れる店内に戻り、ブラウン管に映るテレビニュースを二人して眺めていた。程なく到着。

おお、もう昔ながらという言葉が似つかわしい、それはあっさりとした醤油中華スープに、東京下町らしい柔らかそうな中太ちぢれ麺が泳ぎ、注文したのはチャーシューワンタンメンだったかと見紛うほどにそれが多めに入っていた。

そしてさらに、メンマとインゲンにカマボコに小さめの海苔、そしてひときわ目立つナルト巻き二つが、まるで美味しくて目を回しますよと、ラーメン自体が語って来るようなビジュアルだった。

それではと口にすれば、やはりそうだったかと頷ける美味しさが支配する中華そばで、もう旨い旨い旨い旨い旨い旨い。

玉子チャーハンにも手をつけると、みじん切りのピーマンが入り、胡椒が強めに利いた味付けのもので、和洋折衷ならぬ中洋折衷と言った感じだった。お新香も一緒に来て、これがまた自家製らしく美味しかった。

ラーメンの具が多めと言うだけでなく、ご飯も多めで全体的にもボリュウムが良く、けっこうお腹一杯になる程であった。しかしながら何とも言えない風情に、箸が途中で休まることはない美味しさに、気が付けば完食となったこちらであった。

なお、定休日は隔週日曜日がお休みで、明日は営業日で次の日曜日は営業しない。

精算を済ませて駅に戻る頃、先程の出前をお店の男性が自転車で届けに出て行き、駅に着く頃前から来るその方と目が合い爽やかな挨拶が、また下町らしさを感じたものだった。

ここは東京都足立区柳原、周辺の河川敷を日ノ出町緑地と人は呼ぶ。


(左フォト) ワンタンメン/玉子チャーハン/店内/メニュー表/店舗外観 (2009.07.11)


 中華そば・甘味 日の出屋 (ひのでや)

 住所:東京都足立区柳原1-33-2  定休日:隔週日曜日  営業時間:10:00〜20:00

 アクセス:京成電鉄本線京成関屋駅または東武鉄道牛田駅下車。駅前の道を荒川方面に
       ずっと進んで行き、ガードをくぐらず左手に進んで行った左側。



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