春木家本店 東京・荻窪





一月も半ば近くになって来ると青空から注ぐ陽射しにまた勢いが増すように感じられて、何処か気持ちも上向きになれる気がした、そんな睦月中旬の勤務の都合で久しぶり休日となった水曜日だった。

十年以上も前に一度だけ訪れたこちらだが、幾度となくその訪問を考えてはこれまでその後再度訪問することはなかった。

TVで紹介されていたこともあったこちらで、しばらく前から公式サイトも立ち上げられていて、もう本日こそとなって今回出掛けることにした。

そんなわけで御茶ノ水で中央線快速電車に乗り換え、また荻窪で下車して北口に出るエスカレーターで上がりロータリー前に立った。

前方の青梅街道を右手に進んで行き、途中横断歩道を渡って向こう側の歩道に行き、さらに新宿方面へ歩いて行く。

まもなく荻窪駅前入口交差点でそこを越えてその次の左路地を入り、そこから住宅街を200mほど歩いて行くと左手にこちらが以前と変わらずに佇んでいた。

公式サイトによれば、1931年の昭和6年に創業したこちらだそう。さっそく入店して行くと平日の正午近くの時間で、数人の先客が居る静かなフロアが広がっていた。中央に大きなテーブルがあるこちらで、そのやや厨房寄りの席に腰を下ろした。

そしてさりげなく手元に用意されていたメニューリストを徐に広げてから、予定通り中華そばとせいろも一緒にオーダーした。そのメニューの中には、製麺時などに使うものだろうか、古い計量器が紹介されていた。

十年ほど前に一度来たことを告げると、歓迎してくれてしばらくしてから世間話しに花も咲いた。現在の建物に建て替えて、もう27年になるこちらだそう。

以前のレポートでも触れているようにその昔青梅街道沿いで春木屋を創業させたのはこちらで、戦地に向かうため親戚にその店を託し戦後この地にで店を再開させた経緯を持つようだ。程なく到着。

それではと到着した中華そばから口にして行けば、十年前と何一つ変わらない寸分違わぬその風情ある味わいがたまらないもの。

それにしても豚骨と煮干しの清湯醤油スープに、細ストレートの麺が絡む風情は、唯一無二にして王道一直線と言うしかなかった。

春木屋の中華そばはその後何度となく口にしているが、やはり春木家のルーツを感じるものだ。その麗しさと言ったらなく、それだけに瞬く間に麺と具が消えて行った。

店の入口にはこちらの中華そばが現存する最古の東京ラーメンと紹介されていたが、その味わいは紛れも無くそう感じさせてくれる縦横無尽に説得させる幾つもの趣が存在していた。

そして程なくせいろが来て、こちらも実に風情のいい日本蕎麦で素晴らしいものだった。テーブルには国産粗挽十割蕎麦が紹介されていたが、このせいろは二種の蕎麦の粉を七割にしたものだそう。

どちらも素敵なそばだった。それだけに、気がつけば完食。何気なく千葉の市川の方から来たことを話すと、中山法華経寺へよく訪れていることをお聞きして驚いた。

今年の元旦もご先祖の墓参りも兼ねて毎年訪れる中山法華経寺に初詣に訪れているが、お聞きするとなんとこちらの家系はそのお寺と縁が深いことが判り、こちらを訪ねたのもご先祖のお導きなのかも知れない。

今でも日本蕎麦店が本格的な中華そばを提供する店が数多く存在しているが、春木家と春木屋のようなケースはまず他には無いと言えるだろう。

いや、かなりとんでもなく絶大に素晴らしく、途轍もなく何処までも果てなくひたすら良かった。

(左フォト) 店舗と周辺/中華そば/せいろ (2015.01.14)


 生粉打ち蕎麦 中華 春木家本店

 住所:東京都杉並区天沼2-5-24  TEL03-3391-4220  ※公式サイトはこちら

 定休日:木曜日  営業時間:11:00〜15:00/17:00〜20:30LO

 アクセス:JR荻窪駅北口下車。ロータリー前方の青梅街道を右手に進んで行き、荻窪駅前入口
       交差点を越えて次の左路地を入り、そこから住宅街を200mほど歩いた左側にあり。



青梅街道のこの交差点を越えて次の左路地を入る。

建て替えて27年になるこちらだそう。

古い計量器が紹介されていた。

見出しは、「ハルキヤ」イメージはラーメン屋?

国産蕎麦粉二種使用の十割蕎麦の案内。

荻窪駅からそう遠くない住宅街で営業している。

JR荻窪駅周辺には、春木屋とこちらの春木家がある。知っている方は既に知っている話しだと思う。この二つのお店の因果関係と味の違いが知りたくなりやって来た。春木屋で食して喫茶店で落ち着いた後に外へ出てその周辺を散策。

八幡神社という名の地元の本八幡にあるのと同名の神社を見つけ、親近感が湧き御賽銭を投げ、やや迷いながらも住宅街にひっそりと佇むこちらのお店を見つけ入店した。

縮れ麺の元祖のお店らしい。店内はモダンな洋装のお洒落な空間だ。日本そばのお店でもあるようだ。

チャーシューメンが、さっきよりは手頃な価格になっていたのでそれをお願いする。麺の硬さや味の濃さを聞かれ、麺カタメで後は普通でお願いする。

単刀直入に向こうのお店の雑誌記事を、こちらの方に見せながらお聞きする。すると戦前から営業していて、ラーメン専門店を向こうの場所でこちらが営業していたそうだ。

ところが戦争で店を離れる事になり、親戚にラーメン作りを伝授して店を任せ、戦後こちらのみで営業を再開したらしい。

親戚のお店は代替わりして全くの他人が営業して縁が無い為全然違う店とこちらが公表している様だ。そんなお話しをお聞きしている内にラーメンが到着した。

湯(スープ)はあちらと較べると薄い色をしている。飲んでみるとなるほどこちらが教えたラーメンだけあって共通点が多い感じである。こちらは鶏ガラを使って無いそうだが、ついさっき食べたばかりもあって入っている錯覚に陥る。

入っている気がしたが、入れて無いそう。総括的には薄い色だが、ダシスープの濃厚さは負けておらず、薄味の分コクが強まり生姜を後ろに持って来た感じであった。

チャーシューがやはりロース系でかなり良い所を使っている気がした。飽きが来ない感じの分、こちらに分がありそう。でも人間臭い東京のラーメンという点では向こうが勝っているところだろうか。

春木家が作った春木屋のラーメン。ダシスープが違うズンドウだけに当然違うラーメンであるが、こうやって較べて色々考えると、圧倒的な吸引力が春木屋にはあった。

しかし旨みをじんわり感じさせてくれるのはこちらで、同じ雰囲気なのに背反するラーメンと言えそう。時代は確実にじんわり嗜好となって行くところだろうか。

(2003.10.01)
 


2003.10 モダンな店内のこちら。



2003.10 チャーシューメン