芙蓉亭 千葉・市川真間





まるで読みかけの小説のあらすじを、再確認するために頁をめくり戻したように、比較的強い陽射しが気温を上げさせて季節を少しだけ押し戻していた、十月も中旬の青空にふっくらした白雲そよぐ祭日の月曜日であった。

一昨日から昨日にかけて勤務先の社内行事で慰安旅行があり、千葉県銚子市犬吠埼にある明治七年創業で、昭和天皇や多くの昭和の文人も宿泊したホテルに一泊して来た。往復するあいだ周辺の観光地を巡り、復路の佐原では運よく年二回の大祭の日に訪れる事が出来た。

狭い川を小舟で行き来した町内には、大勢の人が詰め掛けていた。周辺はお囃子が鳴り響き、大きい山車が狭い道を威勢よく駆け抜け、長い列になって町内の方による踊りが披露されていた。

そんな翌日で自宅でゆったりするところだったが、天気もよく二日間ラーメンがお預けだった事もあり、近場へ出掛ける程度でラーメンへ行こうとした。

そんな中でこちらのラーメンが最近静かなブームを呼んでいる、生姜が利いた味だった事を思い出してお店へ向かった次第であった。

微風が他所の家の松の葉を軽く揺らす。途中真間小学校川沿いにある某店の前に出ると、中に店主がおられ今年五月に店を閉めた事を教えてくれた。川の風が時折り、水面を軽くさざめかせた。

こちらの店頭に到着すると、入り口には「今日も元気に営業中・芙蓉亭」と手書きで書かれた、黒板状の立て板が置かれていた。こんな小道具があるだけでも、お店の存在感は大きくなるものだ。

そんなこちらは昭和35年創業の50年続く中華料理店で、どうやら最近になって代継ぎがあった模様で以前も厨房におられた三代目が店主となっておられた。本場イタリアで修行した経験のある方で、そんな腕を生かして土日曜日と祭日は、パスタやピッツア等のイタリア料理も提供されているらしい。

そんなこちらへ入店すると、昨日は町内でお祭りがあったそうで、本日だけイタリア料理の提供はしていないそうだった。ともあれ予定通り、ラーメンをお願いした。こちらでも、以前ネットでお店を紹介した事を、お伝えして見たところ喜んで頂けて良かった。

創業させた店主は新潟県の十日町ご出身だそうで、後に市川のこちらに家族を呼び寄せたそうで、その後一家が一丸となり奮起されて営業して来られたらしい。程なく到着。

おお、生姜がふんわりと香って来て、これはかなり美味しそうだ。最近新潟県から秋葉原にやって来られた長岡生姜醤油ラーメンの老舗店がきっかけで、都内周辺は生姜醤油ラーメンが静かなブームを呼んでいるらしい。

十日町と言えば長岡も近く、そんなラーメンの影響を受けていても、不思議では無いがもちろん定かでは無い。しかも駅周辺にあった今でも建物が残るだけに長期休業中としている某店のラーメンも同じ系統で、市川市内には他にも同じ生姜味のラーメンのお店がありその特定は難しそう。

それではと行かせて貰えばそれはもう、美味い美味い美味い美味い美味い美味い美味い。何という生き生きとした中華そばなのか。ごく稀に行き先を見失った進路のはっきりしないラーメンもあったりするが、まるで時刻表にでも掲載されていそうな程に、道筋と行き先がくっきりと顕わされた迷いの無いラーメンと言えた。

これならイタリア料理も、かなり美味しいに違いない。そう思わせる程に大変美味しいラーメンで、具もしっかりとしていて今回全てが良かった。気が付けば完食。

ネットで紹介したお礼と言う事で、ベリー系天然シロップが入った杏仁豆腐を御馳走になった。これがまたオリジナリティもいい程よい甘さのベリー系ソースに、絶妙の柔らかさのプルプルした杏仁豆腐も美味しいデザートであった。

(左フォト) ラーメン/ベリー系フルーツ味杏仁豆腐/店舗外観 (2009.10.12)


 中華料理×イタリアン 芙蓉亭 (ふようてい)

 住所:千葉県市川市真間4-5-2  TEL047-372-0461  定休日:火曜日

 営業時間:11:00〜15:00(LO14:00)/17:00〜21:00(LO20:30)

 アクセス:京成電鉄本線市川真間駅下車。手児奈霊堂そば、徒歩およそ10分。

     
起床すると、これが寒い朝であった。つい先日は今秋初めてガスストーブにガス栓を接続して暖を取るそんな秋ふかしな祭日の木曜日だった。そんな朝ネットサーフィンで、ふとこちらのホームページが目に止まり、早速行って見る事にした。

広東料理のお店で、創業昭和35年の当時は、周辺に広東料理店が皆無だったそうで、かなり認知度が低く、営業が大変だったらしい。昭和55年に少し移動して、現在に至るらしい。店頭に到着すると、出前が中心の、よく街で見かける大衆中華料理店だった。

比較的広い厨房に五人の方々が、既に精を出しておられた。ラーメン500円をお願いする。程なく到着。おお、生姜がじんわり来る、鶏ガラの中華醤油スープに、中太ややちぢれの多加水系の麺で、なかなかのラーメンだった。ただ具関係は、どちらかと言えば普通。

精算してお店を出て、すぐ裏にある手児奈霊堂へ足を運んだ。日曜市の様な出店やフリマが始まっていて、結構な方々が境内におられた。すぐ隣りにはハスの葉が青く茂った美しい池があった。

この霊堂は大昔の真間に住んでいた美少女「手児奈」が祀られている霊堂で、万葉集でも「手児奈」の事が読まれているらしい。付近には、下総の国の国庁跡も近くにある。ふと植樹されたらしい大木があり、その案内板を見ると、さだまさし氏の名が刻まれていた。

(2005.11.03)



2005.11 ラーメン



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