永福町大勝軒 東京・永福町









今まで何度となく触れているように、大勝軒と言う店名は現在大きく四つの系統に分ける事が出来る。まず大勝軒の元祖とも言える、人形町系は大正元年に創業した。

私的には大正と大勝を掛け合わせ、当時流行っていた洋食店の末尾に付いていた「軒」を、精養軒のように付けたのではないかと思っている。

そして昭和22年に開業した荻窪丸長から派生して昭和26年に誕生した丸長系の中野(本部は代々木上原)大勝軒、その丸長系から昭和36年に派生した東池袋系大勝軒が夫々の系統の頂上となるラーメン店である。

そしてもう一つの系統の頂点に立つ大勝軒がこちらで、昭和26年から4年後の昭和30年にこの世に生まれたお店である。

東池袋は丸長系統から来ているだけに、新規の系統的ではこちらが一番若い事になる。しかしその本家である永福町大勝軒を開業させた草村商店は、昭和三年に製麺会社として杉並区堀ノ内に創業して今日に至っている。

開業当時は出前もする町の中華店だったようだが、昭和36年頃から味づくりを本格的に取り組み、現在の誰をも魅了させる煮干しを強く押し出したラーメンが陽の目を見たらしい。

そんなこちらを知ったのは周辺に同じ系統のラーメン店があった事もあり、ラーメンを食べ歩くようになってから程なくしてであった。大量の煮干しを利用したスープに、通常の二倍の約290gもの麺が入るラーメンがウリだそう。

その内行こうと思っていたら、未だ行っていなかった。ある程度食べ歩いたら行きたかったが、新店の相次ぐオープンもあったし、連食はあまりしないと言うか出来ない私ゆえもあったが、今日こそ行こうと思い立ちこちらへと向かった。

そんな訳でまた爽やかな陽射しが、秋ときめく街に戻って来た休日の日曜日、都営新宿線の急行電車に乗車して一路こちらを目指した。

明大前で井の頭線に乗り換え、下車駅である永福町駅に到着したのは、開店間近と言う時間の午前11時の7分前であった。改札を出ると、もう本当に駅前で右斜めの方角に佇んでいた。

店頭には開店間近で六人近くが待つ列があった。さて?そんなものなのかなと思いつつも、店先の置かれた長椅子にも座る事ができて店の壁がいい背もたれとなった。

そして後続客がそこから、ぞろぞろと続いた。そんなに出足が鈍いとは考え難かったので、何気なく店内を覗ける窓から中を見れば、満員御礼状態で既に先客の方々が熱々のラーメンをすすっていたのであった。

なるほどこれで納得で、早めにオープンした模様だった。今は2巡目を待つ客の列だったのだ。ところで大通りから路線バスがしょっちゅう左折して来る十字路にこちらがあり、バスが来る度に店の列を掠めるようにして曲がって行くのであった。

なかなか迫力があるものがあったが、バスの運転手さんも手慣れた様子で曲がって行けば、列に並ぶ皆さんも手慣れたもので、身体一つだけの最低限の動きでバスをやり過ごしていた。思わず、おそるべし。

そんな事に気が付きながら待っていると、前の六人の方は皆さん御夫婦らしく、三組の入店待ちであった為一人席が空いてお店の方が単独入店客の私に入店を促した。

何とも申し訳ないやらと思いつつも入店すると、活気のある初めて見る清潔な店内が広がっていた。厨房と客スペースはガラス窓で完全に分離されていた。

促された席に腰掛けてメニューから、チャーシュー麺をオーダーした。すると氷が入った冷水がやって来た。見ていると先客のコップへ、こまめに冷水を継ぎ足している。

今でこそラーメン店に入店すると氷と冷水が入ったコップが用意されているのが当たり前の時代だが、こちらはそれに関してもパイオニアらしく、ぬるい水道水が出て来る昭和37年当時の中で、既に氷入り冷水提供をもちろん無料で実践されたいたそう。氷だけを無料で近隣住民に差し上げた逸話もあるそう。

さて店内はガラスで仕切られているとは言え、やはり煮干しの香りが立ち込めていた。一日に使う煮干しは、30kg近くにもなるらしい。その産地は長崎産・山口産・茨城産の3か所だそうで、3タイプの真鰯の煮干しをブレンドさせる事により、多脂種と少脂種がミックスされて風情が良くなるらしい。

すぐ目の前には以前こちらへ訪問した方から貰って見た事がある、フリーペーパーのようなこちらを紹介する新聞があり、手に取ると関心する位に文字がびっしりとある案内新聞であった。

また現在は二代目が厨房に立ち、昭和3年生まれの先代はお元気だそうで、朝や夜によくこちらに来られそう。程なく到着。

おお、金属製のトレーには、やたらデカいレンゲと、やたらデカいラーメンが入ったどんぶりが乗っていた。そのどんぶりには波々と注がれたスープが入り、麺や小口切りのネギにメンマやチャーシューが、まるで都市別対抗水泳競技大会の参加選手の如くその中で泳いでいるようであった。それにしても美味しそうだ。

それではと行かせて貰えばそれはもう、いやいやいややいや美味い美味い美味い美味い美味い美味い美味い美味い美味い美味い。チャーシューが実に美味しいもので素晴らしい。メンマも実にこだわり高いものだった。

関連店でかなり煮干しを利かせている店もあったので、もっと煮干しが利いた荒々しいラーメンかと想像していたが、とても上品に煮干しが出ていて麺はもちろん草村商店製の風情の良い中太麺で、そこはさすが系統の頂点に立つラーメン店であった。

煮干し以外は鰹節や鯖節も利用していて、黒豚のゲンコツや背脂にジャガイモなどの食材と、ラーメンの表面に浮かせる為に、高級ラードで定評のあるカメリアラードも使っているらしい。大きな鍋一つとズンドウ三つを駆使して味を安定させているそう。

なお先述したように会社的に本店は製麺所である大勝軒草村商店であって、こちらは1支店の永福町店となり、現在の他の直営店は、保谷店・狭山ヶ丘店・大宮草村店・大海毛呂店・高萩店・東岩槻店・一ノ割店・増戸店・東川口店がある。

なお周辺には「中華麺舗草むら」と言うお店もあるが、こちらは別会社で初代店主のお兄さんが始めたお店らしい。

その他の永福町系は暖簾分けで独立したお店で、大勝軒と名乗らないお店も少なくない。味変えでこまめに進化させているこちららしいが、初期に近い暖簾分けのお店は昔の味に近いお店もあるだろうし、そうしたお店を訪ねるのも一考であろう。

お土産用のラーメンも、お店で食べるのと変わらないと評判が評判を呼んでおり、それを購入する方もかなりおられるようだった。その場合は脇にある出口専用口から入って、簡単に購入する事ができるらしい。

大盛りな並盛なるもそこはその美味しさゆえに、こちらも気が付けば完食だった。いや、かなり美味しなラーメンであった。

(左フォト) チャーシュー麺/拡大画像/メニュー/バスに注意/店舗外観 (2009.11.15)


 永福町大勝軒 (えいふくちょうたいしょうけん)  ※企業公式サイトはこちら

 住所:東京都杉並区和泉3-5-3 TEL03-3321-5048

 定休日:無休 ※但し正月休みお盆休みあり   営業時間:11:00〜23:00

 アクセス:京王井の頭線永福町駅下車。改札前の井の頭通り右手寄り永福町駅前交差点にあり。