玄流宗家 道玄 東京・高田馬場





厚い雲が空を覆って雨の予報が出ていた、八月上旬休日の日曜日午前中であった。自宅を出た時は未だ降っていなかったが、高田馬場駅を下車して歩き出すと、にわかに水滴が落ち始め静かに雨が降って来た都内だった。

以前に田中玄氏のブログで、今度はラーメン超激戦区と言われている、高田馬場駅周辺にラーメン店を開業する事を知った。無化調が当たり前になって来た昨今だが、氏のラーメン店がそんな高田馬場に出来るのは感慨深いものを感じる。

そして日曜日のそのオープン当日には、オープン当日記念として、玄流塩ラーメン特別バージョンの、大変希少性の高い大山黒牛を出汁に利用したラーメンを提供するそう。それならばと言うわけで、オープン当日に出掛ける事にした私であった。ちなみについ先日には、海を隔てた香港でも、氏が手掛けたラーメン店がオープンした様であった。

ずいぶんと早く1時間前に高田馬場に着いてしまい、ちょっと買い物をして時間を潰すかと、店頭にまだ行列が出来ていない事を確認してからそこを一度離れた。高田馬場駅に戻って駅前のBIGBOXの2階にあったユニクロへ入り、買おうと考えていたポロシャツを2枚購入し、店頭には開店45分前に再度到着した。

するとガラス越しにちょうど田中玄店主がおられ、店頭で深々と御挨拶をすると、まだ開店まで時間があるので中で休んで下さいとの事で、誰もまだ並んで居なかったのでそうさせて貰った。

入り口には島根県のパンフレットと物産品が陳列されており、お店のオーナーの方が島根出身らしく、その関係で県の職員の方が並べて行かれたそう。今回のオープン記念のラーメンも、貴重な大山黒牛の牛骨からメインの食材まで、ほぼ島根の食品らしい。

しばらくすると数人が外に並び始めたので、中で一人待つのも外の方に申し訳ないので、その先頭に並んでいる方に事情を話しその前に並ばさせて貰った。雨は先程よりも、本降りの雨となっていた。まもなく花屋が開店祝いの花を持って来て、華やかな店頭となった。開始数分前には、15人強の行列となっていた。

時間となりその行列の先頭の人となって、改めて店内へ誘導され一番奥のカウンター席に越しを降ろした。メニューは開店記念の、大山黒牛ラーメンのみ。50杯限定の貼り紙があった。程なく到着だ。

おお、玄流塩ラーメンらしい、華麗なビジュアルである。田中氏のラーメンは、ただ美味しいだけでなく、そのビジュアル性も高いのが特長となっている。但しそのビジュアル性を高めるあまりに、無駄な飾り付けを行う事は無い氏のラーメンで、そこには合理的な均整美がとれたラーメンが風情良く佇んでいた。

大判のこだわり高そうなチャーシューが二枚に、メンマと青菜、中央には軽く白髪ネギが盛られ、糸唐辛子がその頂上に添えられていた。さてそれではと口にさせて貰えば、いやいやいやいやいやいや。もう、美味い美味い美味い美味い美味い美味い美味い美味い美味い美味い。

大山の雪解け水の滴る音が、はるか山奥から届いて来そうな錯覚を感じてしまう程に、三百頭しか現存していない欲しくても手に入らない大山黒牛の牛骨から出た、瑞々しいうま味を閉じ込めたスープの、力強くもあり優しくもあるその美味しさは唯々圧巻そのもの。

北海道産特別栽培小麦粉の、ホクシンの全粒粉による中細麺は、絶妙なコシと食感を表していた。そして噛むたびに肉汁が溢れる、チャーシューがまた大絶賛もので、野菜食材の深い味わいにも魅了されるばかりであった。

味にも永劫回帰があるとすれば、まさしくこのラーメンの中には、それが詰まった一杯が介在しており、誰もがその美味さに感動するに違いないスティタスが在った。

それはもう気が付けば完食である。目をつぶれば潮騒と風音が聴こえる鳥取砂丘の遥か海上に浮かぶ、美しき島・隠岐が見える気がした、そんな珠玉の一杯ここにありだった。

(左フォト) オープン限定「大山黒牛ラーメン」/島根物産コーナー/店舗外観 (2009.08.02)


 玄流宗家 道玄 (げんりゅうそうけ どうげん)  ※店主公式ブログはこちら

 住所:東京都新宿区高田馬場4-10-14アイエムエー1F 定休日:不定休 営業時間:11:00〜23:00

 アクセス:JR山手線他高田馬場駅早稲田口下車。早稲田通りを左手へ進んでまもなくある、
       マクドナルドの手前左路地を曲がり80m程度進んだ右側。



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