一寸亭 東京・谷中


  2009.07.26 夕やけだんだんより、谷中ぎんざを臨む。   2009.07.26 下町らしい風情がよい、谷中銀座商店街。











南風が木々をさわさわとざわめかせ、青空から降り注ぐ夏の陽射しの妖精が、アブラゼミの斉唱にタクトを振っているかのように響き渡る、七月下旬日曜日の正午前だった。

しばらく前に発売された東京のレトロなラーメンを紹介する本に、こちらが掲載されてその名を知る所となり、折りを見て行きたいラーメン店の一つとなっていた。

松嶋菜々子さんの出世作となった、平成八年放送のNHK連続ドラマ小説「ひまわり」で、ロケに利用された事もあったらしい。

設定は、弁護士を目指す主人公の叔父が営む、飲食店がそのお店のようで、ちなみにその時の店主は三宅裕司さんで、ナレーションには欽ちゃんこと萩本欽一さんが軽妙な語りを披露しているそう。

そんな事もあったらしい谷中銀座商店街の路地を少し奥まった場所にある、人気メニューはトロミを利かせたモヤシラーメンの、昭和48年創業の中華料理店だ。

しかしきっかけもなく、先日も近くを通り過ぎながらも、訪問しないで月日は流れていた。

ところが或る事がきっかけで、少し前に某こだわりカフェの店主から、こちらで利用する麺は浅草開化楼である事を教えて頂く機会があった。

そんな事により大変気になるお店へ格上げとなり(表現力足りない)、本日ちょっとした更なるきっかけも手伝い、行って見る事にしたのであった。

と言うわけで駅前再開発により、高層ビルが立ち並ぶようになった日暮里駅にやって来た。

しばらく前に日暮里・舎人ライナーと言う新交通システムの始発駅にもなった、JRと京成が乗り入れている駅で、東口駅前の街の風景がずいぶんと一変していて驚いた。

ともあれ今回はそちらが側でない、谷中ぎんざへ向かう西口側へ出て歩いて行った。すると東京観光らしい方々が、暑いさなか散歩をしていた周辺だった。

日曜日の谷中ぎんざは、定休日でお休みのお店も見受けられたが、それでも営業しているお店もあり、商店街を盛り上げていた。

この辺かなと左路地を入れば、その右手に風情の良い、こちらの店舗が見えた。まさしく昭和の風情が色濃い中華店だったが、さて暖簾がかかっておらず、看板があるしこの建物だよなと思いながらも建物を撮影する私であった。

路地の奥からのショットも欲しいと更に進めば、また中華店が左手に見えて思わず至近距離にライバル店があるのかとその店舗を見上げた。

その中華店の名は「一寸亭」と言う店名だった。さて、あちらも一寸亭、こちらも一寸亭。とりあえずと両方の建物が入る一枚を撮影。(何故そうなのか、ちゃんと考える事)

そう言えば近くに移転したとかラーメン本で読んだのを思い出して、向こうは倉庫の様に利用して、こちらが営業用の店舗なのだろうと、暖簾が掛かる方の新しいお店へ入店した。

店内はしっかりとした中国料理店らしい雰囲気があり、右手に厨房とその前に一本のカウンター席が用意され、左手には家族やグループ客に打ってつけなテーブル席が準備されていた。

カウンター席には常連さんらしき方から、谷中ぎんざを訪れた観光客らしき方まで何人かの方が先客におられ、その間の空いた一席に腰掛けた。

餡掛けのラーメンと言う気分にもならなかったので、人気のモヤシラーメンにせず、メニューからこれは餡掛けでなかろうと、ワンタンメン750円を見つけてそれでお願いした。

老舗店ほどモヤシラーメンを餡掛けで提供する場合が多いが、それ以外は例外も多いが大抵は餡掛けでは無く、今回のケースは都内の昭和から続く中華店と言う事もあり聞くまでも無かったが、地方に出掛けて入店する中華店では確認した方がベストだ。

後続客が続き、その中の一人が冷やしタンメンとオーダーしていたが、冷やしタンタンメンの聞き間違いか、またはその通りならそれってどんなものかと気になった。

なお厨房には比較的若い男性が一人と、この道何十年といった感じのベテラン中華料理人が二人おられ、計三人の布陣で臨んでいた。程なく到着。

おお、これ以上ない、ザ・スタンダードなワンタンメンがやって来た。鶏の脂が醸す香りが、また優美な世界を演出していた。ビジュアルもいい感じだ。

それではと行かせて貰えば、それはもういやいやいや、美味い美味い美味い美味い。さすがヤワめの中太ややちぢれ麺がいい状態を成し遂げており、あっさりした鶏ガラの中華醤油スープは、何とも言い難い秀逸な旨みと質感に満ちていた。

浅草開化楼の麺を利用しているらしいが、見ると厨房にそれらしき麺箱は無く、特に何処の麺を使っているか案内は無く、口にしてもクセがない仕様の麺だけに、やや心にモヤが掛かった。

別に悪戯心で言うつもりではなかったが、件の若い方が目の前におられたので、念のため製麺所を確認しようと、「この麺は浅草開化楼ですか?」「はいそうです」「ああやっぱり」と、錦糸町某店の再燃(2004.05.27編)となった会話が成立した。

しかし、後続客が更に続いて厨房は多忙を極めていた所為か、その話しに尾ひれが付く事はなく、以上、だった。

ワンタンも厚みがあり良い食材の良さがあり、チャーシュー等の具もさすがな美味しさを魅せていた。大変にいいワンタンメンだっただけに、気が付けば完食だった。

その後精算して谷中ぎんざを散策。先日紹介した鈴木精肉店は定休日なのかお休みで、見るともう一軒のメンチを販売する精肉店があった。店名は肉のサトーさんで、こちらからもスグの場所。なんとメンチに和牛の肉を使っており、その他の惣菜にコロッケも好評らしい。

店頭ではアントニオ猪木のテーマソングが流れ、インフォメーションの張り紙は満艦飾の風情が漂いつつ、そんな中で口にしたメンチは大変に美味で、思わず夕飯用に追加でお買い上げする私であった。

そんな下町の雰囲気が漂う周辺だけに、ラーメンだけでは済まない楽しさが貴方を待っている。いや、良かった旨かった。


(左フォト) ワンタンメン/店内/旧店舗/現店舗/日暮里駅周辺 (2009.07.26)


 中国料理 一寸亭 (ちょっとてい)

 住所:東京都台東区谷中3-11-7  定休日:火曜日

 営業時間:11:30〜22:00※日曜祝日〜21:30

 アクセス:JR日暮里駅北改札口を出て、西口を左手へ進んで行く。夕やけだんだんを降りて
       谷中ぎんざへ入って更に進む。やなかストアー手前左路地を左折して、少し歩いた
       左側。(右側手前の同中華店は、創業時の店舗だった建物)

 

  2009.07.26 一寸亭のすぐ近くにある肉のサトーさん。   2009.07.26 肉のサトーさんのジューシーな谷中メンチ。



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