BUZZ 東京・根岸鶯谷 ※閉店





空を見上げれば久々に青空を塞いだ薄暗い雲が広がる周辺に、ケータイを広げて思わず天気予報を見るも、今日はこのまま雨の降らない予報となっていた。

陽射しが注がない事もあって寒さをより強く感じた日だったが、画面をスクロールさせれば明日の午後からは崩れるようになっていた、一月中旬の世間は祭日で成人の日の午前中だった。そんな今日は時折り騒ぐ鉄道懐古趣味の虫がまた起き出して来た今日この頃に、また都内の関連ショップへ訪問する事にして、昼のラーメンはこちらへまた出掛ける事にした。

昨年のまだ暑さが続いていた九月にオープンした、春日部市の井之上屋店主が手掛けるラーメン店だ。その頃は味も落ち着かないそんな時期であったが、そんな時でさえキラリと光るものを感じ取れたこちらであった。

成人の日だけに時折りだけ晴れ着を見掛ける祭日の午前中で電車も比較的空いており、やや早めに着いてしまい店頭を過ぎて奥の道を左手に進んで周辺を散策すると、柳の葉が垂れ下がる風流な道路沿いに寺院が点在していた。

途中で引き返してこちらに戻ると、ちょうど店主が引き戸を開いて中から器用に暖簾を掛けておられた。そんな開店準備が整った頃、さりげなく入店した私であった。券売機で今日はまだどうするか決めてなかったが、前回は塩だったし醤油も好評のようだったので、ラーメンは味玉醤油らぁ麺にして、チャーシュ丼もお願いしてからその側のカウンタ席に腰を降ろして落ち着いた。

通常の塩には秋刀魚の文字が記載されており、現在の日曜限定の塩は鮮魚白湯が提供されているようで、券売機のボタンにそんな表記があった。また醤油らぁ麺とご飯のセット750円のランチサービスを意識したボタンもあった。

以前オープンした頃一度来た事を店主に告げると、利用する水に合わせた調整も終わったそうで、以前より格段に良くなって落ち着いているそうで、これは期待に胸が高鳴る所だった。目の前には、三河屋製麺の麺箱。程なく到着。

おお、今日も美味しさがそれは伝わって来そうな、そんなオーラに満ち溢れていたラーメンだった。節の香りが軽く迸っている。半熟気味の味玉もいい風情だ。それではと行かせて貰えばそれはもう、いやいやいやいや、美味い美味い美味い美味い美味い美味い美味い美味い美味い美味い美味い美味い。

塩に秋刀魚とあったが醤油にもその食材が利用されており、節から来る食材の甘味とその焼き秋刀魚の融合感が、なかなかと言えた美味しさだった。チャーシューもかなり美味しい。

チャーシュ丼はそんなチャーシューを、しっかりと炙ってそれが三枚も乗っており、かなりの満足感が得られた味玉醤油らぁ麺とチャーシュ丼だった。

気が付けば完食。なるほどこれがこちらの100%かとしっかり理解できた、陽射しも隠れて比較的寒い日の美味しラーメンと、サブメニューのどんぶりものだった。


(左フォト) 味玉醤油らぁ麺/チャーシュ丼 (2010.01.11)









真っ青な晴天の大空が広がり、秋の南風に遅鳴きの蝉が1オクターブ程高い喧噪を奏でるものの、絶対数の少なさに夜長となって来た街には、既に蜻蛉が我が物顔で翼を広げていた、九月後半シルバーウィーク二日目の日曜日だった。

そんな今日は、今月の三日にオープンしたばかりで、埼玉県春日部市の人気ラーメン店、井之上屋さんの店主が営む東京進出店であるこちらへ出掛ける事にした。

一般的にその店の塩ラーメンを口にすれば実力が判るとされているが、未訪問である井之上屋さんはその塩ラーメンが複数用意されているそうで、塩の井之上屋と呼ばれているらしい。

しっかりとした方針が端々から見えて来るラーメン店と言う事から、以前より気になっていたお店の一つで、その店主自ら東京進出店の厨房にお一人で立っているらしく、これは是非ともそちらのラーメンを口にしたくなった次第であった。

今年で百年を迎えた黄緑色帯の山手線電車が、上野駅を出ると百年変わらない緩やかな左カーブを過ぎて、程なく鴬谷駅のホームへ身を滑らせた。電車を降りると、その横で京浜東北線電車が快速運転で勢いよく通過して行った。

以前に訪問したラーメン店の場所の後にオープンしたお店で、本来であれば地図を頼りにしなくとも辿り着きそうな所だが、不思議と確認を要してその店頭に到着した。

まだ開店までは数分あり、店頭でしばし待つ事にした。店先には椅子が用意されていたが、周辺には多くのお寺が密集しており、お墓参りなのか頻りに檀家の方々らしき人々が店先の歩道を過ぎて行き、とりあえずバッグだけ椅子の上に置いた。

そして車道と歩道の間にある、ポールに寄り掛かって時間を待つ。ふと見ると入口には醤油の提供がない事が示されており、それで外に向けて貼られたメニューリストを見れば、醤油に通常の塩も日曜日はお休みである事が明示されていた。

またそこには化学調味料に加えて、発酵調味料・ペプチド・各種エキスなど、それらが一切使用されていない事が謳われていた。発酵調味料とは「みりん風調味料」や「三倍醸造酒」を指し、ペプチドとは複数のアミノ酸が結合した化合物を言う。

なおBUZZとは一般的には虫ならブンブン人ならブツブツと言う音声を指し、私的にはディズニー映画の「トイストーリー」のキャラクターである、宇宙服を着て動き回るバズ・ライトイヤーを思い出す。

しばらくすると店主が出て来られ、中から暖簾を掛けられて営業が始まった。入店すると直ぐに券売機があり、毎週日曜日のみの限定の塩となる、奥久慈しゃもの「塩」(味玉付)に、スープで炊いたチャーシュー飯(大)を選んだ。

チケットをお渡しして、店主にご挨拶。水や火なども微妙に違う所為か、スープに悪戦苦闘しておられるらしい。厨房の中には三河屋製麺の麺箱が置いてあった。

麺箱を見て思い出し、以前かなり凝った配合の麺で臨んでいた事をお聞きすると今は内麦と外麦をブレンドしている程度だそうで、判り易く言うと国産と海外産の小麦粉を単に調合している程度に留めているとの事だった。

店内はやや暗く落ち着いた風情を醸す店内。入り口側から洩れる明かりを見ていると、江戸時代の旅籠の中に居る錯覚になる程に和風な雰囲気に満ちていた。そして店内で深呼吸すれば、潮騒が聞こえて来そうな程にその香りが充満していた。程なく到着。

おお、薄く光る黄金色をした、いい風情を放って輝くスープだ。ラーメンの表面には、味玉子・チャーシュー・穂先メンマ・水菜・浅草海苔と豊富な具類が置かれ、中細ストレートの麺が、その後ろで見え隠れしていた。

それではと行かせて貰えば、それはもう美味い美味い美味い美味い美味い美味い。絶妙な塩加減であるからこそ、一口で判るその澄んだ味わいは、確かに無化調感に満ちていた。

悪戦苦闘しながらも豊かなコクを著わしており、麺は加水低めの分柔らか目ながら、ムッチリと来て喉越しを重視しており、また健康にも配慮が成されていたものがあった。

最近だと好日さんをフラッシュバックさせるその味わいに、二言三言お聞きすると、春日部のお店は開業時は無化調で始めたそうだが、採算が合わなかったようで三年ほど過ぎてから、いわゆる微化調に方向転換されたそう。そのお言葉をお聞きして、思わず感慨もひとしおとなった。

それにしてもラーメンの上に浮かぶ味玉子・チャーシュー・穂先メンマは、どれもかなり秀でたもので、その一品一品はまるで高級料亭で供された、和料理として完成されたものに近かった。

スープで炊いたチャーシュー飯は、いわゆる炊き込みご飯で、チャーシューはさいの目に刻まれたものが多めに入っており、やはり美味しいものであった。

平日と休日で変わる客層に対して、見事に切り換えて対応するメニュー表現に、日本の明日が見えた気がしたのは気の所為か。気が付けば完食。いや、大変に美味しラーメンであった。

(左フォト) 奥久慈しゃもの「塩」/チャーシュー飯/店内/店舗外観 (2009.09.20)


 BUZZ (バズ)  

 住所:東京都台東区根岸3-3-18メゾン根岸鶯谷1階   定休日:水曜日

 営業時間:11:30〜14:30(土日祝〜15:00)/18:00〜21:00※スープなくなり次第終了

 アクセス:JR山手線鴬谷駅南口下車。左手に歩いて階段を降りて進んで行く。大通りの言問通り
       に出て横断歩道を渡ってから右手に少しだけ進み、すぐある左路地のうぐいす通りを
       100m程入って行った左側にあり。



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