味の大西 神奈川・湯河原







東京を中心に雨そぼ降る関東地方で、時折り止んでも折り畳み傘が手放せない、そんな10月前半休日の土曜日の朝であった。

このサイトが始まった頃、自宅からそう遠くない京成八幡駅から国道14号線に向かった路地の途中に、1年程だけしか営業していなかった一軒のラーメン店があった。

湯河原ラーメンと冠が付いており、店名が店名だけに湯河原に本店がある同店名の親戚筋が経営する、ラーメン店だと直ぐに理解が出来るお店であった。

まだこのサイトが始まる少し前に、二度ほど入店してその店のラーメンを口にした事があった。味を見るとまだ落ち着いてない風情に、時間があればそんな人気店のラーメンになるだろうと待つ事にした。

それからこのホームページが産声を上げてスタートした。そろそろだろうと或る日店頭に立てば、正午をとっくに過ぎた時間ながら、主のいない店内は時が止まったようにして入るものを拒んでいた。

あれからもう6年という歳月が既に流れていた。味の大西。戦前から営業する湯河原の老舗人気ラーメン店で、小田原系ラーメンに深く係わると言われている。

小田原系と言えば小田原駅周辺にも支店があり、そこへ今日こそ行ってみるかとなった。本日の朝の話しで、思い立ったが吉日である。

そんな訳で市川発午前八時半少し前の総武横須賀線電車逗子行きに飛び乗り、戸塚で後続の快速小田原行きを待つ。

戸塚駅は熱海方面・横須賀方面・高崎方面・千葉方面のよき乗換駅であったりする。すると何と数分後には普通熱海行きの電車も接続していた。

・・・こうなったらもう本店に行きたいとなり、一本電車をやり過ごして熱海行きの方に乗車。特に遅れも無く軽快に降雨量が増して来た沿線を電車はひた走った。

途中車窓左手に相模湾が迫り、潮風が雨を更に暴れさせた。速度を上げた電車の硝子窓に、水滴がへばりついてなびく。目をこらして見れば、曇り空は水平線の彼方まで続いていた。

雨脚が強くなったまま、目的地の湯河原駅へ到着。周囲は温泉保養地で、1度か2度ほど降りた駅だ。

しかしラーメン目当てに、降りたのは今回が初めて。あらかじめこちらのアクセスをネットで調べるとシンプルで、傘を指しつつも難無く店頭に着いた。

そこにはラーメンのノボリが立ち、硝子が入った扉に店名が刻まれ、それが無ければ駅前の温泉街のビジネスホテル風な雰囲気に包まれていた。

地元に支店が短期間とは言え存在し、何度と無く訪問を思い描いてはプランで終わっていた。そんなラーメン店でしかもその本店の前に立っている事を思うと、或る意味感慨深いものを感じた。

中へ入って単独入店客と意志表示すると、比較的若いお店の方が促す厨房前のカウンター席へ腰掛け、メニューからワンタンメンをお願いした。

その方に以前支店を出していた本八幡の街からラーメンを食べにやって来た事を告げると、直ぐにわざわざ千葉からようこそと訪問を歓迎してくれた。親戚筋が開業させたお店だそうで、その方は現在音信不通らしい。

創業について確認させて貰うと、ネットで様々な情報が流れているが、ざっくり言って創業80年が正解だそう。そうすると昭和4年前後の開業と言う事になるが、当初は精肉業を営んでおられたそうで、いつからラーメンを始めたかはっきりしていないのが実情だそう。

奥では老練で気合が入っている店主と奥さんが、息ぴったりに鮮やかな手さばきでラーメンを作っておられた。程なく到着。

おお、もう見るからに美味しそうなラーメンだ。それではと行かせて貰えばそれはもう、美味い美味い美味い美味い美味い美味い美味い美味い。

豚骨ベースらしい濃いめの醤油味は特に塩気が目立つ事もなく、何処までもまったりとした口あたりで、独特な甘味が唯一無二のラーメンに仕立てていた。

中太平ちぢれの麺はプリプリしながら口内で暴れ、その存在感はかなりの風情を醸していた。同じ町内にある、室伏製麺らしい。

根強い人気らしいワンタンは、なんとなくギョウザをワンタンにした感じがあり、なるほど大変に美味しい。またチャーシューも精肉業の歴史が物語る程に、かなりとってもすごく美味いものだった。

モヤシの具に青ネギが印象に残る感じで表面の油もあり、何処か広島で食べたラーメンがオーバーラップし、ラーメン自体の歴史がそんな意味から、一筋縄では行かない事も感じたそんなラーメンでもあった。

ともあれ温泉街の駅前通りで、かなりの長い間提供されていた事が判るラーメンで、その感動さえも出来る旨さに一人カウンターで唸っていたのは私であった。気が付けば完食。

こちらの店名に付く冠は中華洋食となっていて、ラーメンにはサンマーメンがあったり、かたやきヤキソバがあったりで、洋食としてもカツ丼にロースカツ半ライスと言うメニューも並んでいた。

ラーメンとは時代が変わっても、ラーメンであり続ける魅力に包まれている料理と、気が付かされたこちらのラーメンだった。そして次のラーメン店へ

(左フォト) ワンタンメン/メニューリスト/湯河原駅前/店頭外観 (2009.10.03)


 中華洋食 味の大西 湯河原本店

 住所:神奈川県足柄下郡湯河原町土肥1-9-14   TEL0465-2-3266

 定休日:月曜日※祝日の時は営業して翌日休み  営業時間:11:00〜19:30

 アクセス:JR東海道本線湯河原駅下車。改札前の通りを右手に150m程進んで行った左側。



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